あの娘(こ)のもとにニッサン(日参)しても後でひじ鉄クラウン(食らうの)さ…こんな調子でメーカーや車の名前を歌詞に織り込んだのは小林旭さんの「自動車ショー歌」である▼東京五輪が開かれた1964年にヒットした。曲名で「鉄道唱歌」をもじったうえで、いろんな車が大好きとの思いも底流にあり、人々の共感を呼んだのだろう▼世界最大級の北米国際自動車ショーが、米中西部デトロイトで始まった。今年は、どんな趣向とラインアップでドライバーの心を捉えるのか。くしくも来年、東京五輪を迎えるだけに、興味が湧く▼米市場で売れ筋のスポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップトラックが、展示の中心となっている。トヨタは、人気のあったスポーツ車を17年ぶりに復活させた。「運転して楽しいだけではない。魅惑的だ」とアピールする▼「ショー歌」の歌詞みたいな無邪気さだ。業界は人が車を所有し、走らせるという原点に返りたいのかもしれない。だが、自動運転やシェアの進展で、車社会は大きく変わる。後戻りはできまい▼北米国際自動車ショーは直前の家電見本市に自動車大手が参加するため、来年から6月に開催時期をずらす。これからは、電気で動く車は電化製品でもあルノー(るの)、と歌うことになりそうだ。