青葉容疑者の供述のポイント

青葉容疑者の供述のポイント

 京都市伏見区の「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオの放火殺人事件は、青葉真司容疑者(42)の逮捕から3日で1週間を迎える。逮捕後の供述からは大量殺人の犯意や計画性がうかがえるが、事件から10カ月が過ぎて記憶が薄れている面もある。京都府警捜査本部(伏見署)は当時の精神状況や犯行に至る背景の細部を詰める捜査を進めている。

 殺人などの疑いで逮捕された青葉容疑者は、勾留されている大阪拘置所(大阪市都島区)で連日、ベッドに寝た状態で取り調べを受けているという。事件で負った全身やけどの影響から自力歩行はできず、食事にも介助が必要な状態だが、捜査本部によると体調は安定し、落ち着いた様子で調べに応じているという。
 捜査関係者によると、動機については「小説を盗用されて、京アニが許せなかった。恨みが募っていた」と供述し、複数の京アニ作品の名前を挙げたという。「盗まれた」とは何を指すのか。捜査幹部は「最終的には本人の認識の問題だ」と語り、詳細な供述を積み重ねて真相を解明したいという。
 犯行の計画性についても複数の供述が判明した。「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と語っており、強固な殺意だけでなく、大きな被害を出す手段を選ぶだけの冷静さを保っていたことが浮かぶ。「当初は包丁で襲うつもりだった。包丁は(自宅のある)さいたま市から持ち込んだ」とも供述。事件前日に宇治市内でガソリンの携行缶を二つ購入しており、その時点では犯行計画を変更していたとみられる。
 一方で「36人も死ぬとは思わなかった。(犠牲者は目の前にいた)2人ぐらいと思っていた」とも供述しており、結果をどこまで予測していたのか、疑問点もある。
 懸念されるのは、青葉容疑者がどこまで正確な記憶を保っているかだ。命の危機にひんする重度のやけどを負い、治療に10カ月超の日々を費やした。
 放火したとされる際の状況について「(京アニ社員が)3、4人いた。自分の右腕に火が付いたので建物の外に出た」と詳細に供述した一方で、事件前後については記憶が曖昧な部分も見られるという。
 最初の勾留期限を5日に迎えるが、京都地検は青葉容疑者の刑事責任能力を調べるため、京都地裁に鑑定留置を請求するとみられる。
 捜査幹部は「取り調べをする中で(青葉容疑者が)記憶が喚起されることもあるだろう。本人の頭を整理してもらいながら、着実に捜査を進めていく」と語る。