休業要請が全国の多くで解除された新型コロナウイルスへの対応は、感染の再発に備えながら、社会経済活動を再開させる新たな段階に移ったとされる。

 1日の証券会社の集計で、3月期決算の上場企業の2020年1~3月期純損益合計は、赤字が1兆円を上回った。新型コロナによってもたらされる膨大な経済的損失を回復する道のりは、始まったばかりである。

 こうした中、国内では、都道府県境を越える移動の自粛要請が解除されだした。世界各国から日本への入国制限についても、今後は緩和されることになるだろう。

 政府は、ほぼ全世界の感染拡大を受けて、水際対策を順次強化してきた。現在、外国人の入国拒否は、対象が計111カ国・地域に及ぶ。今月末まで続けることが決まっている。

 これまでは、やむを得ない措置とされ、感染防止に効果を挙げてきたと評価されている。

 とはいえ、新型コロナへの対応が新たな段階を迎えたことで、政府は、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国について、入国制限を緩和する方向で検討に入った。

 いずれも、現時点では感染状況が落ち着いているうえ、日本との経済的なつながりの深いことが重視されたという。水際においても、感染防止から経済の回復に、軸足を移す頃となったようだ。

 観光庁の宿泊旅行統計(速報値)で、4月に国内の旅館やホテルに泊まった人は、前年同月と比べて8割近くも減り、外国人はほとんどいなくなった。

 各国と人の往来が途絶え続ければ、需要を失った航空会社などが経営の危機を迎えるだけでなく、人手不足に悩む地域社会も大きな影響を受ける。

 入国制限の緩和を適切に進めることで、これらの問題を解決していかねばならない。

 4カ国との間で緩和が実現すれば、国際的な往来再開の「第1弾」となる。今後の動向を左右するだけに、再開の時期については、慎重に見極めてもらいたい。

 新型コロナ対策を検討する政府の専門家会議は、海外との往来再開によって感染が繰り返される恐れがあるため、当分の間は、入国者数を限定する必要があると強調する。入国の条件としては、PCR検査によって陰性が証明されていることなどが想定される。

 往来の再開には、万全の受け入れ態勢を整えておくべきだ。