海外各国に比べて立ち遅れている新型コロナウイルスのPCR検査増加につながるのだろうか。

 厚生労働省は、唾液を使って感染を調べるPCR検査法を認め、公的医療保険の適用対象とした。

 現在主流となっている鼻の奥の粘液を綿棒で取る方法よりも安全で簡単に検体を採取できるという。多くの人を迅速に検査できる可能性が高まると期待できよう。

 新型コロナは第2波が懸念されている。PCR検査を拡充し、感染の広がりを的確に把握できる態勢を整えておくことは重要だ。検査数を増やさなくてはならない。

 人口10万人当たりの日本のPCR検査数は約188件(4月末時点)で、韓国の6分の1、米国の10分の1程度にとどまっている。

 鼻の粘液などの検体に試薬を加えて遺伝子配列を抽出する作業に手間がかかるうえ、採取する際にせきやくしゃみが出やすいため徹底した防護策が必要だ。

 その点、唾液による検査は、採取する人への感染リスクが少ないという。ただ、対象は症状が出て9日以内の人に限られる。新型コロナは発症前でも感染を広げる可能性があるとされる。無症状の人にも広く適用する道を探るべきではないか。

 無症状者への検査を巡って、専門家の見解は分かれている。

 積極的に検査を進めて感染者を見つけ、隔離するべきとする意見がある一方で、試薬不足や機器を扱える人材に余裕がないとして検査数増加に慎重な見方がある。

 厚労省は1日当たり約2万6千件のPCR検査が可能としているが、現状の件数はその能力に届いていない。試薬や人材が足りないことだけが原因なのか、不明な点は多い。安倍晋三首相は検査が増えない状況を「目詰まり」としたが、その理由を精査し、有効な打開策につなげる必要があろう。

 PCR検査の精度にばらつきがあることも課題だ。いったん陰性となりながら再び陽性になる「再陽性」の判定が全国で100件近く確認されている。専門家は検査の不確実さを指摘している。

 検査に使う試薬や機器、スタッフの技能は施設により異なる。厚労省は全国のPCR検査施設の能力を調査するというが、判定する能力の差は見過ごしにできない。検査精度の均一化が欠かせない。

 生活や経済活動が平時に戻ろうとする時こそ、感染の再拡大に備えておくべきだ。PCR検査の拡充がなぜ必要なのか、改めて確認しておきたい。