京都市交通局が導入を始めた「ドライバー異常時対応システム」の押しボタン(右京区・同局梅津営業所)

京都市交通局が導入を始めた「ドライバー異常時対応システム」の押しボタン(右京区・同局梅津営業所)

 京都市交通局は、市バスの運転手が走行中に体調不良などで運転できなくなった際、乗客が非常ブレーキボタンで緊急停止させる「ドライバー異常時対応システム」の搭載を始めた。市内では1月に下京区で運転手が意識を失い、市バスが歩道脇の縁石に乗り上げ乗客ら3人が軽傷を負う事故が起きており、同局は「同種の事故を未然に防ぎたい」としている。

 国土交通省によると、運転手の健康状態に起因する事業用自動車の事故は2017年に全国で298件起きている。横浜市で18年10月に路線バスなど3台が衝突し、乗客ら計7人が死傷した事故では、運転手の睡眠時無呼吸症候群(SAS)が事故につながった可能性があったとされる。

 京都市下京区の四条河原町で1月23日に起きた市バスの事故も、運転手が何らかの理由で意識を失ったことが原因だった。市交通局によると、事故には至らなかったが、健康状態を理由に運転を中断した事案は11~19年度で計22件に上っている。

 こうした事態を受け、国交省は16年に異常時対応システムのガイドラインを策定。18年にシステムを搭載した初の大型観光バスがメーカーから発売され、全国のバスで順次導入された。

 京都市交通局では今年1月末、全車両の約6%に当たる47両で搭載した。運転手の異常に気づいた乗客が運転席の近くにある非常ボタンを押すと、バスが緊急停止する。車内の乗客には警告ブザーで、車外の車や歩行者にはハザードランプとクラクションでそれぞれ異常を伝える。

 ただ、ボタンを押してから約8秒後に完全に停車するまでの間、ハンドルは効かないため、カーブや交差点の手前でボタンを押せばそのまま突っ込んでしまう恐れがあるという。車線を維持しながら停止する方式の開発が待たれるが、国交省によると、実用化のめどはたっていないという。

 市交通局は今後、約800両ある全市バスに同システムを順次導入していく方針で、「メーカーがより良いシステムを開発することを期待したい」としている。