西院の夜はいつも楽しくて、その思い出のほとんどがこのお店だ。暖簾(のれん)をくぐり扉をあけるとおかえりーとこうちゃんが(店主のおっちゃんがこうちゃんなんだろうと勝手に思っているけど違っていたらどうしよう)迎えてくれる。

 L字型カウンターだけの店内は満員になってしまうことも少なくない。お客さんはみんな優しくて目いっぱい席を詰めて中に入れてくれたりする。壁一面に貼られたメニューの中には美味(おい)しくないものなんてないのだけど、僕が毎回注文するのがポテトサラダ、アギ肉の塩蒸し、だしまき、そしてセロリのナムルだ。

 どれも本当に美味しいし、こうちゃんに来ないと食べられない特別な味がする。しかもこのどれもが100円や200円ぐらいで食べられるのだ。何回足を運んでも網羅できないほどたくさんのメニューも魅力のひとつで、もうこうちゃんのことはほとんど分かってきたぞ、と思っていても毎回、「これが一番美味しいかも」という料理に出くわしてしまう。そんな瞬間が恋しいのだ。近くにあった、深夜まで営業しているジェラート屋さんとセットでキラキラした思い出がたくさんあるお店だ。