京都府教育委員会で公立学校の教員によるわいせつ事案が相次いでいる問題で、2012年4月から17年8月までの5年余りの間、わいせつでの懲戒処分が計19件発生し、7割超が教え子に対する行為であることが分かった。さらに、大半の教員が20~30代だった。携帯電話での直接的なやりとりが背景の一つにあるとして全面禁止の措置を取り、「生徒との距離感を誤ってはいけない」と厳重注意を呼びかけている。

若手教員の勘違い「好意を示されて」

「始業前の空き教室で何度も会った」「学校生活での出来事をメールでやりとりするうちに親密になった」-。よくある青春時代の恋愛のひとこまのようだが、違う。わいせつ行為をした教員の懲戒処分内容に関する府教委側の説明だ。
 府教委によると、教え子が被害者になるケースでは、多くの教員が調べに対し「生徒から好意を示され、つい行き過ぎてしまった」「生徒が拒否しなかった」と答えている。19件のうち、14件の被害者が教え子で、12件が20~30代の男性教員による行為だった。
生徒が被害にあう事案では、無料通信アプリLINE(ライン)でのやりとりから仲を深め、生徒の裸の画像を送らせたり、ドライブに誘って抱きしめキスをしたりしていた。部活の顧問の立場を利用したケースもある。
 教職員人事課は「生徒と年代が近い若手教員は、慕われる対象になりやすいが勘違いしてはいけない。携帯での安易なやりとりが温床になっており、危険だ」と研修などで強調する。未成年の教え子に対するわいせつは、教員倫理に反するだけでなく、刑法や府青少年健全育成条例に違反する犯罪行為につながると警告している。
 府教委では昨年度に8件相次ぎ、本年度もすでに3件発生。研修だけでは根絶できず、8月に教員と生徒がラインなどでやりとりすることを全面的に禁止する通知を出した。
 教員によるわいせつ処分は全国的にも増加している。文部科学省によると、15年度に処分された公立学校の教職員は224人と過去最多。処分を隠して他の自治体の教員になり再び問題を起こすケースもあったため、教員の処分情報を都道府県を超えて共有するシステム作りに乗り出す。

「携帯、車、部活」が危険 専門家指摘

 「携帯、車、部活。これらを利用した生徒とのコミュニケーションは、わいせつ行為に至るケースが多い」。被害にあった生徒や保護者から年間約100件の相談を受ける「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(大阪府)の亀井明子代表は指摘する。
 発生する構図は共通しており、教員と生徒の圧倒的な力関係の差がある。子どもは、内申書や部活動の選手選びなどに影響することを恐れ、教員に抵抗しにくい。そこにつけ込み、部活の帰りに「車で送る」と誘ったり、携帯で直接やりとりし「他の子には内緒」と口止めしたりし、親や友人の目から隠れて「2人きり」になるように誘導するという。
発覚後、「抵抗されなかった」と言い訳する教員が多いが、生徒が嫌と言えなかったケースのほかに、性暴力に関する知識が乏しく、被害だと認識していない場合もある。その時は被害感情がなくても、成長し何かのきっかけで「性暴力だったのでは」と自覚し、深い傷を負って相談にくる女性も多いという。
 「生徒が教員に恋愛感情を持つことはある。それ自体は問題ない」と亀井代表は認めた上で、教員と生徒が「恋愛関係」になることは全く別だとする。「大半が違法行為にあたる上、教員は教育のプロとして保護者から生徒を託されており、自らの私的な恋愛感情に巻き込むことは許されない」と断言する。教員研修だけでなく、生徒に性暴力の知識を正しく教える重要性も訴える。