新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業などに最大200万円を支給する国の「持続化給付金」を巡り、事業の不透明さが、にわかに問題になっている。

 野党は、実体に乏しい団体が受注し、団体に関係する企業に再委託していることを疑問視し、国会で追及している。

 もとより巨額の事業費は公金である。公正さがゆがめられるのは許されない。

 苦境にある中小企業や個人事業主、フリーランスに迅速、的確に給付金を届けるのは、国の責務だ。国会で国民が納得できる説明をしなければ、事業への信頼を失うと心得るべきだ。

 問題の団体は、2016年に設立された一般社団法人のサービスデザイン推進協議会(東京)。8人の理事は非常勤で、常勤はいない。職員はわずか21人という。

 野党議員が「謎の団体」と呼ぶのも分かる。そんな協議会が、なぜ、769億円という巨額事業を受注できたのか。さらに、この事業を749億円で広告代理店の電通に再委託したのは、なぜか。

 初めから電通に委託すればいいではないか。梶山弘志経済産業相は、過去に事業を担った電通が国の補助金の振り込み元になり、問い合わせが集中したからと説明する。その程度の理由なのか。

 一連の流れをみると、一般競争入札で受託した協議会が、給付金申請受け付けから審査までの管理や運営を電通に再委託、さらに電通は人材派遣会社やIT大手企業にコールセンター業務などを外注している。

 これら3社は、協議会設立に関わったとされ、理事も出している。協議会の職員には3社の出向者がいる。不審に感じて当然だ。

 大きな事業では再委託は一般的に行われ、それ自体は問題ではないという。しかし、かつて厚生労働省が発注した情報処理会社の再委託先から多くの入力ミスが見つかるなど、不祥事が起きているのも事実だ。

 管理が行き届かない恐れを指摘されている。営利目的の民間が介在することで、公金の無駄遣いにつながらないか懸念もある。

 協議会は、今回も含め経産省の事業14件を受託している。同省OBはおらず、天下り先ではないというが、受託実績から親密な関係を想像してもおかしくない。

 単なる受注、再委託の不透明さにとどまらず、もっと大きな疑問が浮かんでくる。巨額の公金が投入されるコロナ対策だけに、厳しい目を向ける必要がある。