京大病院

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 家族性のアルツハイマー病の患者に対する治療薬候補を使った治験を開始すると、京都大医学部付属病院や三重大医学部付属病院が4日発表した。京大iPS細胞研究所の井上治久教授らがiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った実験で効果を見いだした既存薬「ブロモクリプチン」を用い、アルツハイマー病患者に投与した場合の安全性と効果を確認する。

 根治薬の開発が望まれているアルツハイマー病では発症原因の一つとして、大脳皮質の神経細胞が作るタンパク質断片「アミロイドβ(ベータ)」の脳内での過剰蓄積が考えられている。井上教授らは2017年、患者由来のiPS細胞から作製した神経細胞で、パーキンソン病治療薬のブロモクリプチンが効果を持つことを確認していた。

 今回の治験は、アルツハイマー病のうち家族性でプレセニリン1遺伝子に変異のある患者を対象とする。同遺伝子に変異のある患者は日本では数千人いると推定されるが、詳細は分かっていない。ブロモクリプチンは、このタイプの患者由来の細胞で最も効果が高かった。治験では、軽症から中等症までの患者10人に対しブロモクリプチンか偽薬を36週投与。副作用の有無や効果を確認し、さらに14週は10人全員にブロモクリプチンを用いる。

 井上教授は「治療薬候補を見つけてから治験までは長くかかった。一刻も早く患者さんへ薬を届けたい」と話している。