臨時国会が召集された。

 6月の通常国会閉会後、内政、外交ともに重要課題が山積している。だが、安倍晋三政権は野党の閉会中審査要求にも応じず、議論を避けてきた。

 安倍首相は所信表明演説を行い、自らがこだわる憲法改正について「国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たそう」と呼びかけた。

 各党に改正案の提示要請はしなかった。改憲勢力が3分の2を割り込んだことを踏まえ、野党への刺激を抑制した形だ。

 国民から見れば、他にしっかりした議論を求めたい案件は、いくらでもある。

 日米両政府が最終合意した貿易協定について首相は、日米双方の利益になる結論を得たと成果を誇示。年内にまとめる予定の国内産業の支援策を念頭に、農家の不安に向き合うとした。

 しかし「ウィンウィン」との主張に違和感を覚える人は多い。国会の場で、十分な説明と検証を尽くすべきだ。

 国民の関心が高い社会保障制度改革については「全ての世代が安心できる制度を大胆に構想する」とするだけで、具体策には踏み込まなかった。

 先月、自らが議長となる新たな検討組織を立ち上げたが、所信表明演説では年金や医療、介護について、国民の負担増や財政健全化も含めた将来像を提示するには至っていない。

 真摯(しんし)に説明するという姿勢がうかがえなかったのは残念だ。

 首相の通算在職日数は11月に歴代最長となる。だが、それに見合う成果を挙げているのか。国民は冷静な目で見ている。

 「新しい令和の時代にふさわしい日本をつくり上げる」と美辞麗句を重ねるだけでなく、課題に正面から向き合ってほしい。

 新会派を結成した立憲民主や国民民主両党などは、関西電力役員らの金品受領問題を含む「3点セット」に照準を合わせ、政権を追及するという。

 「憲法より関電だ」(立民の安住淳国対委員長)と関電問題の追及チームを設置し、真相解明へ役員らを国会に招致したい考えだ。

 しかし、国民が第一に求めるのは社会保障などの重要課題に選択肢を示し、議論を深めることだ。それを忘れてはならない。

 「安倍1強」で国会審議の形骸化が危惧される中、野党の姿勢にも厳しい目が注がれていることを自覚するべきだ。