政府は、2025年までの少子化施策の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」を決定した。

 若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」の実現を目指すと明記した。

 6%強にとどまっている男性の育休取得率は、30%とする目標を掲げている。

 大綱は少子化社会対策基本法に基づき、5年をめどに改定している。だが、これまで政府が掲げてきた目標の多くは達成できていない。

 少子化に歯止めはかかっておらず、むしろ加速している。

 女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は16年から下落傾向にあり、18年は1・42だった。

 19年の推計出生数は過去最少の86万4千人となり、「86万ショック」と言われる。

 数値目標を繰り返すだけではなく、少しでも実効性のある具体策を探らねばならない。過去の取り組みに何が足りなかったのか、再検証が欠かせない。

 新大綱では、男性が家事・育児に参画しやすくなるよう、育児休業の分割取得や給付金の在り方、社員に取得を後押しする企業への支援を検討するべきだとした。

 経済的な支援策として、不妊治療の負担軽減や児童手当の充実、高等教育無償化制度の中間所得層への拡充などを検討するよう提言している。

 いずれの施策も財源の裏付けはなく、実現するための具体的な道筋は見えない。税や企業の拠出など社会全体での負担を広く検討するとしており、負担増に理解が得られるかが課題だ。

 ただ出生率を上昇に転じさせた欧州各国は、そもそも家族政策の財政規模が大きいことも認識しておくべきだろう。

 新型コロナ対策で財政状況は厳しさを増しているが、在宅勤務で育児の大変さが分かったという人もいる。子育てを含めてどんな社会を目指すのか、改めて全体像を描く契機にしてほしい。

 大綱は、少子化の主な原因は未婚化、晩婚化だと指摘し、望む時期に結婚や子育てができる社会にすることを基本的な目標とした。

 個人の選択の問題であり、国の都合を押しつけることはあってはならない。一方で、希望しているのにためらう人も多い。

 非正規雇用の増加など経済的事情や、子育てと仕事の両立の難しさなどさまざまな要因がかねて指摘されている。社会の一層の意識改革も求められる。