水本憲治・京都大特定助教

水本憲治・京都大特定助教

 新型コロナウイルスの第2波への警戒感が強まっている。ウイルスの謎の一端が明らかになりつつある中、来る再流行にどう備えるか。「人との接触8割減」を打ち出した厚生労働省クラスター対策班で、感染予防のデータ分析やリスク推定を担う水本憲治京都大特定助教(感染症疫学)に聞いた。

 -第2波はいつ、やって来ますか。
 「パンデミック(世界的大流行)で有名なインフルエンザは冬に流行するため第2波も冬だと思われているかもしれないが、今回の新型コロナは季節性を裏付ける科学的根拠がない。北海道は第1波が落ち着いたと思ったら第2波で大変な状況になった。実際、感染防止策を解除したところでは国内外を問わずクラスター(感染者集団)が発生しており、第2波の時期や規模は分からない」
 -日本は欧米の先進諸国に比べると感染者や死亡者の数が少ない。第1波の封じ込めに成功したと評価する向きもあります。
 「結果的に収束に向かったことはよかったが、日本でオーバーシュート(爆発的患者増加)が起こらなかった理由ははっきりしていない。一方、中国・武漢の約1千万人を対象に感染の有無を調べるPCR検査を実施したところ、無症状の感染者が300人確認された。感染していないのに陽性となる偽陽性でなく真の無症状感染者ならば、ロックダウン(都市封鎖)など日本とは比較にならない厳しい制限で新規感染者がしばらく出なかった武漢でさえ、知らないうちに市中感染の連鎖が続いていた。要はコロナは消えない。ワクチンが開発されるまでは散発的な流行が起こってしまう。闘いは2年程度かかるのではないか」
 -有効な対策は見いだせていないですか。
 「接触を減らす努力によって流行が抑えられるのは分かった。弱い方々も明らかになり、高齢で、特に男性ほど死亡リスクが高まる。高齢者は都市部の流行地域から来た人、例えば孫との接触機会を少なくした方がいい。医療体制を手厚くする必要もある。日本人の何%が感染したかを示す、一般化できる唯一のデータは献血された500人中1人。つまり、0~1%台でも医療体制は逼迫(ひっぱく)した。短期間に数%の流行を起こそうものなら崩壊する。第1波の成功、失敗事例から学び、自治体間で情報交換や連携を密にするべきだ」
 -今、私たちはどう行動すべきでしょうか。
 「感染リスクの高い弱者との接触を控える前提で、前に進むしかない。自分のできる範囲で感染防止策を設定し、感染が拡大するようなら厳しく見直す。『新しい生活様式』の中でクラスターが発生する知見が集まれば改善すべき行動が見えてきて、皆さんの中で行動規範ができてくる」