相槌神社の宮司を務める高月さん。小学6年と1年の子を育てる母でもある(八幡市八幡・春日神社)

相槌神社の宮司を務める高月さん。小学6年と1年の子を育てる母でもある(八幡市八幡・春日神社)

 名刀にゆかりがあり、刀剣を題材にしたゲームファンの女性を中心に参拝者が急増する京都府八幡市八幡の相槌神社。老朽化する神社を次の世代へと受け継ぐため、知恵を絞って奔走を続けている。


 千葉県流山市出身。母方の実家が神職の家系だったこともあり、高校卒業後は神職を養成する京都國學院で2年間学んだ。伏見区の御香宮神社などに勤め、2018年2月に相槌神社と近くにある春日神社の宮司に就いた。
 だが、相槌神社は本殿も社務所も老朽化し、「今にも崩れそう」だった。修復が必要だが、多額の費用がかかる一方、神社に蓄えもない。「とにかく知ってもらわないといけない」と焦りを募らせる中、先代宮司から引き継いだ社伝の中にヒントを見つけた。
 社伝には、源氏一門に伝わる宝刀「髭切(ひげきり)」と「膝丸(ひざまる)」が、この神社で作られたことが記されていた。ゲームを通じて刀に関心を持つ「刀剣女子」が増えていることは知っていた。「これしかない」。活路を見つけ、鳥肌が立った。
 ただ、名刀とのゆかりを知ってもらうのは簡単ではなかった。ホームページを作ったり、看板を設置したり。試行錯誤を繰り返して、転機は18年秋に来た。参拝者の一人が会員制交流サイト(SNS)で紹介したことをきっかけに、口コミは一瞬で広まった。
 月2回の御朱印の授与には、多い時で台湾など海外を含む全国から百人以上が列を作った。訪れるきっかけはゲームでも「知ってもらえたことが、本当にありがたい」と高月さん。インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」も予想を上回る成果を上げ、感謝は尽きないという。
 いずれは刀剣ブームも収まると思う。「それまでに縁結びや縁切りなどのご神徳を授けてもらい、またお参りをしたいと思ってもらえるようにしていきたい」。長く親しまれる神社を目指し、挑戦を続けている。