夏山のシーズンがやってきた。外出自粛で縮こまった体と心を大自然の中で解き放ちたいところだが、今年は山にも新型コロナの影がつきまとう。日本最高峰の富士山は今夏の閉鎖が決まった▼開放的な環境は「3密」と無縁のようにも思えるが、登頂ルートや山頂に登山客が集中するおそれがあるという。京都や滋賀の身近な山でも、他者との距離を空けるなどの対策が求められている▼ウイルスへの備えとともに気をつけたいのが、登山中のけがや体調不良だ。特に今年は長引いた巣ごもり生活で、自分の思っている以上に体がなまってるかもしれない▼日本山岳会などは全国での緊急事態宣言解除に合わせ公表した8項目の登山再開ガイドラインで、衰えた筋力や体幹を鍛えるよう求めた。自粛期間中に登山道の荒廃が進んでいる可能性にも触れ、注意喚起している▼登り慣れた山であっても、崩れた岩や伸びた木々が行く手を阻むかもしれない。普段なら飛び越え、かき分け進めても、体力が落ちていれば大事故につながりかねない。はやる気持ちはいったん抑え、まずは自分の体から見つめ直したい▼警察庁によると、昨夏に全国の山で遭難した669人の約8割が40歳以上で、60代の事故が最も多かった。自分は大丈夫、という気の緩みにもご注意を。