中国の賈湖遺跡で出土したコイの咽頭歯の化石(中島経夫氏提供)

中国の賈湖遺跡で出土したコイの咽頭歯の化石(中島経夫氏提供)

 琵琶湖博物館(滋賀県草津市)は4日、黄河流域にある中国河南省の新石器時代の集落跡で、約8千年前にコイの養殖が行われていた可能性が高いとする研究成果を発表した。世界最古の魚の養殖例とみられるといい、養殖技術の発展経緯を知る手掛かりになるとしている。

 集落跡は黄河流域にある「賈湖(かこ)遺跡」で、米の早期栽培などで発展したという。研究を主導した中島経夫名誉学芸員(古魚類学)は2010年から、同遺跡で出土したコイののどの奥にある歯(咽頭歯)の化石を調べた。

 約8千年前の紀元前5800~6200年の地層から出土した58点の咽頭歯の大きさを基に、コイの体長を推定したところ、国内最古のコイ養殖例とされる弥生時代の「朝日遺跡」(愛知県)と同様、幼魚と成魚が混在する原始的な養殖の特徴がうかがえたという。中島氏は「人為的に管理された池のような水域に、別の場所で捕獲した産卵期のコイを放流して産卵させたため、混在していたのではないか」と分析した。

 賈湖遺跡では、水田跡が見つかっておらず、コイを養殖していたのは稲作が始まる以前だったのでは、とも指摘。近隣ではその後、稲作が広まったとみられるといい、「養殖で培ったかんがいなどの技術を水田づくりに転用した可能性がある」とした。

 中島氏によると、エジプトで3500年前にテラピアが飼育管理されていたことを示す絵画が最古の魚の養殖記録とされていた。研究結果は9月、オンライン科学誌に掲載された。