勾留理由開示手続きに臨むため、建物内に入る青葉容疑者を乗せた車(9日午後3時半すぎ、京都市中京区・京都地裁)

勾留理由開示手続きに臨むため、建物内に入る青葉容疑者を乗せた車(9日午後3時半すぎ、京都市中京区・京都地裁)

 36人が死亡した京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの疑いで逮捕された青葉真司容疑者(42)が9日、京都地裁で開かれている勾留理由開示手続きに出廷し、冒頭の人定質問で名前を問われると、「はい、青葉真司です」と、マスクをつけたまましっかりとした声で話した。昨年7月18日の事件後、青葉容疑者が公開の場で発言するのは初めて。

 青葉容疑者は事件で重度のやけどを負って自力歩行できず、ストレッチャーに乗せられた状態で出廷し、そのままの姿勢で応答した。他に、生年月日や住所を答え、職業を問われると「無職です」と応じた。

 鵜飼奈美裁判官は、勾留を認めた理由について「第三者による罪証隠滅のおそれがあるので、勾留に相当の理由がある」と説明した。

 これに対し、青葉容疑者の弁護人は「現実的可能性に基づいて検討したのか」と疑問を呈し、「第三者とはいかなるものか分からない」と批判した。鵜飼裁判官は「個々の具体的内容は捜査上の秘密もあるので明らかにできない」とそれ以上の説明をしなかった。

 さらに弁護人は、重いやけどを負って自力歩行できず逃亡できないとした上で、前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告を引き合いに、「(青葉容疑者は)資産もなくゴーン被告のように、病院からコンテナに入れてもらって逃亡することもできない」と指摘し、勾留の必要はないと強調。「事案の重大性や社会的影響に惑わされずに判断すべき」と意見を述べた。青葉容疑者は、意見陳述せず、ストレッチャーに寝たまま上を見つめ、表情はうかがえなかった。約30分間で手続きは終了した。

 勾留理由開示手続きは、刑事訴訟法に定められた手続き。裁判官がまず法廷で勾留を認めた理由を説明する。続いて、弁護側がなぜ勾留する必要があるのかなどを裁判所に質問する求釈明を行い、裁判所が回答する。容疑者本人や弁護人は10分以内で意見を述べることもできる。

 刑事訴訟法では、勾留の要件として証拠の隠滅や逃亡を疑わせる相当の理由がある場合と定めている。青葉容疑者の弁護人は、2日に勾留理由開示の請求を行っており、「勾留の理由、必要性がない」としている。

 捜査関係者によると、青葉容疑者は調べに対して容疑を認め、「小説を盗用されて京アニが許せなかった」と動機を供述しているという。