17日が会期末の今国会について政府、与党は延長しない方針だ。政府提出法案の大半で成立のめどが立ったためという。

 新型コロナウイルス対策を盛り込んだ総額32兆円にのぼる第2次補正予算案を12日に成立させ、そのまま閉会する見通しだ。

 安倍晋三政権が重要法案と位置づける年金制度改革関連法、改正国家戦略特区法は成立した。一方で国家公務員法改正案、国民投票法改正案は採決が見送りとなった。

 緊急事態宣言は解除されたが、新型コロナは第2波が懸念されている。政府の取り組みについて、疑問や問題点をただしてほしいと国民が思うことは多いはずだ。

 世論調査では政府のコロナ対策を評価しないとの声が半数以上を占めており、国会の行政監視機能が問われている。

 緊急の立法措置がいつ必要になるかも分からない状況だ。

 政治の責任を果たすには国会を閉じるのではなく、会期を延長するべきではないか。

 逆に閉会する理由があるのか。「戦後最大の危機」「国難」との安倍首相の主張とも矛盾する。

 新型コロナの感染拡大に伴い、一時は与党内でも延長論が出ていた。自民党の森山裕国対委員長も「緊急に立法する必要性があるとすれば、国会の役割を果たすのが重要だ」と述べていた。

 それが立ち消えになった。前東京高検検事長の賭けマージャン問題などを巡り、審議を極力回避しようとする思惑が透ける。

 野党は、安倍首相が追及を避けるため会期延長せず閉じようとしていると批判している。

 「桜を見る会」や森友問題など、さまざまな疑惑も積み残しになったままだ。

 2次補正案では、国会のチェックが不十分になる予備費が10兆円の巨額になり、問題視されている。これほどの対策が必要というなら、まずきちんと議論の場を持つことが筋ではないか。

 安倍首相はこれまでも国会を軽視し、論戦から逃げようとする姿勢が見られた。コロナ禍に及んでなお、政権への白紙委任を求めるようなことは許されない。

 党首討論の開催も見送られる見通しとなった。背景には、審議時間が十分確保できる予算委員会の開催を野党が優先している事情もある。

 国民の命と暮らしを守るため、今ほど国会の役割が求められることはなかったはずだ。言論の府を形骸化させてはならない。