セキュリティ対策などについて発表する京都すばる高の3年生(京都市伏見区)

セキュリティ対策などについて発表する京都すばる高の3年生(京都市伏見区)

 情報通信技術(ICT)の発達を受け、プログラミングやインターネットの危険性などを学ぶ情報教育の重要性が高まっている。今後は大学入試に導入される計画もあり、府立京都すばる高(京都市伏見区)など専門学科の「情報科」を設置する高校では独自の取り組みが進んでいる。ただ、教科としての「情報」を教える高校の現場では、生徒の習熟度にばらつきがあることなど課題も出ている。

 「ネットにつながれば、常に誰かに狙われる。つながることを知ることがセキュリティー対策の第一歩だと感じた」。昨年12月上旬、京都すばる高が伏見区で開いた情報科学科の研究発表会で、ネットワークの構築方法を学んだ3年生の男子生徒が力を込めた。

 同高は2003年に専門学科「情報科学科」を開設。今回の発表会は2016年度から3年間、文部科学省から専門的な職業人の育成を図る補助事業「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」の指定を受けた成果を報告するために行った。

 SPHでは、3年生からグループに分かれ、ネットワークの構築方法のほか、シミュレーションソフトを活用した最適な避難経路の割り出し方などを学んだ。ネット上のトラブルを未然に防止するため、小学生向けの啓発活動に取り組んだ生徒たちもいた。

 同高では1年生からプログラムの「C言語」、2年生で「アプリ開発」などを学んでおり、卒業後にはIT会社への就職が決まった3年生もいる。情報科を担当する小西良尚教諭は「ネットではさまざまな問題が増えており、倫理観など心の教育が大切だと痛感している」と強調。今後は情報技術の発達に合わせた教員の指導力向上も課題だとした。

 情報教育の重要度は年々高まっている。教科としての「情報」は2003年度から高校で導入され、現在は情報の活用法などを中心に教える学校が多いが、22年度から導入される新学習指導要領ではプログラミングに関する内容を含む共通必履修科目「情報Ⅰ」が新設される。大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストでも「情報」が加えられる方針で、22年度入学の生徒が受ける24年度テストから実施されるよう検討が進んでいる。

 昨年5月には政府の未来投資会議で安倍晋三首相が「人工知能、ビッグデータなどのIT技術、情報処理の素養はこれからの時代の『読み書きそろばん』」とした上で、「大学入試でも、国語、数学、英語のような基礎的な科目として情報科目を追加し、文系、理系を問わず学習を促していく」と表明した。

 ただ、学校現場での情報教育は試行錯誤が続いている。京都橘高(伏見区)では情報科の授業に力を入れ、1年生で表計算ソフト「エクセル」のプログラム言語「VBA(ビジュアル・ベーシック・アプリケーション)」を活用して処理を自動化する方法などまで教えている。担当の長谷川卓也教諭は「生徒は教わった通りにはするが、今後は自らが目的を持って活用できるようになるのが課題だ」と話す。高校入学直後は生徒によってコンピューターの知識や技術に差があるため、授業の当初は文書作成やファイルの保存など基本操作の習熟に時間を取られることもあるという。

 長谷川教諭は府内の私立中高の情報科教諭らでつくる研究会の事務局も担っており、「『文書作成は中学校までにできるようになる』など小中高の各段階で習得する技術を明確にすれば、授業も進めやすいのだが」と話し、「今後、大学入試に情報が加われば授業内容も変わっていくだろう」とみている。