「SOGI」と性の多様性のイメージ

「SOGI」と性の多様性のイメージ

 「自分のことを『私』と呼ぶようになって、しっくりきたんです」。京都市伏見区の大学生ゆきあさん(19)=仮名=は男性として生まれ、心は中性的な「Xジェンダー」を自認する。爪にはラメ入りのネイル。かわいい装いが好き。高校までは周囲に合わせて「俺」と言っていたが、大学から変えた。「子どもは持ちたいです。新しい自分の家族をつくりたい」

 ゆきあさんとは昨年11月末、京都市伏見区の龍谷大深草キャンパスで開かれた「SOGI(ソジ)カフェ」で出会った。ソジとは、好きになる相手の性を示す「性的指向」(Sexual Orientation)と、自分がどの性別だと考えるかという「性自認」(Gender Identity)の頭文字をとった言葉。LGBTが性的少数者を指すのに対し、ソジは「ストレート」と呼ばれる異性愛者や、ゆきあさんのような「Xジェンダー」も包括した性の多様性を表す。カフェは昨年から、互いのソジを尊重する趣旨で半期に1度開かれている。

 同大学の人権問題研究委員会は2016年、性的少数者の調査としては国内の大学で最大規模のアンケートを行った。回答した学生と教職員858人のうち、15%にあたる130人が性的少数者に該当した。自分や好きになる相手の性が「分からない」と答えた学生も多く、全国調査より高めの結果がでた。

 生まれ育った地元を離れ、新しい人間関係を築く大学生活は、性的少数者にとって大きな節目になる。カフェには、体と心の性が一致しないトランスジェンダーの卒業生や、男女両方が恋愛対象のバイセクシュアル(両性愛)の男子学生もいた。

 女性として女性を好きになるレズビアンのみさきさん(21)=仮名=は「好きな人が異性なら結婚できるのに、同性はできない。不公平だなって思う」と声を落とす。「私もいつか結婚できたらいいな。パートナーとの関係を法的に認められたい」と思い描く。

 日本は先進7カ国(G7)で唯一、同性婚も、それに準じた制度もない。慎重姿勢の国に対し、自治体や企業では、性的少数者のカップルを公認する仕組みが広がりつつある。

 自治体のパートナーシップ宣誓制度は2015年に東京都渋谷区で始まり9自治体に広がった。近畿では兵庫県宝塚市、三重県伊賀市、大阪市が導入し、大津市も検討を開始した。戸籍上の同性だけでなく、トランスジェンダーらを念頭に、異性と宣言できる自治体もある。民間では手当支給や休暇取得といった面で異性カップルと同様に扱う動きが加速する。

 国立社会保障・人口問題研究所の釜野さおり人口動向研究部室長(ジェンダー)は「近年は日本でも同性カップルとして人工授精などで子どもを授かる人が増えてきている」と指摘。「こうした形の子育てが可視化されれば、従来の『男女』の枠組みだけで家族生活を考えることはできなくなる。固定化されがちな性別役割分業や性規範のとらえ直しにもつながるだろう」と次の時代を展望する。

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 2019年が幕を開けた。今年は改元で新しい時代を迎える。急速に進む少子高齢化や国際化、情報技術革命。ポスト平成の世の中は、どのような風景が広がるのか。旧来の価値観が大きく揺らぐ中、多彩な生き方を追い求める人々を訪ねた。