文部科学省が、新型コロナウイルスの影響による長期休校で生じた学びの遅れを取り戻すための指針を公表した。

 授業日数の減少を受け、教科の学習内容は最大で2割程度、家庭や放課後など授業外でも学ぶことができるとした。

 限られた時間の中では家庭学習などで一部を代替させることもやむを得ないだろう。

 だが、学びを補完するには、学校教育の遅れを立て直すことこそが重要である。

 休校で影響を受けた子どもたちへの学習支援とともに、コロナとの共存を前提とする授業のあり方についても、新たな方向性を示す必要があるのではないか。

 文科省の試算によると、5月末まで休校した中学3年の場合、年間の授業日数が45日程度不足するという。指針では、夏休みの短縮などで約35日分、学習内容の一部を家庭学習などにすることで約20日分を取り戻せると想定する。

 気になるのは、学校では子どもたち同士で話し合ったり、一緒に作業したりする学習を優先させ、練習問題や実験結果の考察といった内容は家庭学習でもよいと提案している点だ。

 学校の授業を家庭に肩代わりさせるものだが、保護者に勉強を見る余裕があるかどうかで子どもの学力に格差が生じる心配がある。

 文科省は、修学旅行などの行事を行いながら年度内に履修を終えられるとするが、日程は窮屈だ。例年と同じ量の学習をすべてこなすのは無理があるのではないか。

 特に高校受験を控えた生徒たちは不安を募らせている。受験生が公平に入試に臨めるよう、文科省は出題範囲などの目安を各教育委員会などに示すべきだ。

 最終学年以外については、2~3年かけて学習の遅れを取り戻すことを認めたが、具体策はまだ示されていない。

 休校開けの学校は手探りで授業を進めている。感染の第2波が来れば、授業日数の確保がさらに難しくなるおそれもある。

 文科省は公立小中学校に教員や学習指導員として計8万人以上を追加配置するとした。こうした人員をさらに拡充し、少人数できめ細かい学習を恒常化させるなど、感染リスクを抑えながら授業を継続できる仕組みを整えるべきだ。

 統廃合された校舎を活用するなど、地域の実情に応じて取り組める対策もあるのではないか。

 既存の枠にとらわれず、子どもの健康を守りながら学校での学びを保障する策を検討してほしい。