園庭で水遊びをする園児(京都市伏見区・竹田幼稚園)=画像の一部を加工しています

園庭で水遊びをする園児(京都市伏見区・竹田幼稚園)=画像の一部を加工しています

密集を避けるため使える蛇口を限定した手洗い場(竹田幼稚園)

密集を避けるため使える蛇口を限定した手洗い場(竹田幼稚園)

 新型コロナウイルス感染拡大防止で休園していた京都府内の幼稚園が再開し、新たな教育活動の在り方を模索している。幼児は本来、好奇心のままに集まり、先生や友達と触れ合いながら成長していく。しかし「新たな生活様式」は密集、密接を避けるよう求めているためだ。再開間もない現場を訪ねた。

 京都市伏見区の市立竹田幼稚園では、年長児がマスク姿で遊んでいた。分散登園期間のため人数は少ないが、泥遊びに夢中で体を寄せ合ったり、間隔を空けて座るよう指導されても友達の近くに座りたがったり。塩川道子園長は「幼児は距離を取ることをなかなか意識できない。感染予防の観点から言えば教員との接触も避けるべきだろうが、幼児期はスキンシップが重要で、抱き上げたり手をつないだりする必要がある」と難しさを語る。
 文部科学省は5月、新しい生活様式で教育現場がどのように衛生管理をすべきかをまとめたマニュアルを公表した。遊びの拠点を分散させて子どもの接触を減らす、歌う時は間隔を空け人のいる方向を向かないようにするなどの手だてが書かれている。
 ただ実践が難しいものもある。プールは実施の条件として、他人と2メートル以上間隔を保ち不必要な発声がないよう指導するなどとされるが、幼児が指導通りに行動するのは難しいとして市立15園では今年、実施を取りやめた。市教育委員会の担当者は「シャワーを使うなどの水遊びに代えたい」と話す。
 密閉の環境を避けるため外遊びが多くなる中、子どものマスクも悩みだ。マニュアルでは常時着用が望ましいとしているが、暑さが増す中、着けたまま外で遊ぶと息苦しさが増し、熱中症になる恐れもある。
 それらを避けるため、天候によっては屋外でマスクを外すことを決めた幼稚園もある。下京区の八条幼稚園は体育の授業では着用の必要はないとしたスポーツ庁の通知に準じて判断した。中浦正音園長は「幼児は特に自分の体調のわずかな変化を感じたり、症状を伝えたりするのが難しい。園庭を利用する人数を制限するなどで感染対策したい」と説明する。
 感染の第2波の恐れもあり、新しい生活様式に基づいた教育活動は長期にわたりそうだ。教員らの戸惑いは大きく、中浦園長は「幼児期は集団体験を通じて多くを学ぶ。その機会が減ることで、他人を思いやる力など健全な育ちが妨げられないか」と心配する。

■幼児は心と体が一体。子どもの体験と表現を大切にしたい

 新たな生活様式が幼児教育に与える影響などについて京都教育大の古賀松香准教授(幼児教育)に聞いた。
 集団保育の在り方が揺らいでいると感じる。これまでは、虫を見つけて楽しむ子どもがいれば先生が他の子に知らせて遊びを共有し、学び合うことを大切にしていた。だが今は、密集を避けるため遊びの拠点を分散させる必要がある。
 これからの季節は熱中症のリスクも上がる。外遊びの拠点が増えると、教員らは各拠点を見回って安全確認だけで精いっぱいになる可能性も出てくる。学びを深める保育の専門性は発揮しづらくなるだろう。
 集まるのが困難でも子どもたちが体験を共有できるよう、他の子どもの活動の様子を撮影し、写真を見せたりインターネットで家庭に届けたりする方法が有効だ。またこれを機に各活動の目的を整理し、目的に沿った他の方法がないか検討するのも今後に役立つ。
 どのような保育であれ重要な視点は、幼児は心と体が一体であるということだ。遊びの中で幼児は心のままに動き、人と関わって多様な感情を体験して成長する。感染防止のためのルールで子どもを縛るのではなく、手洗い習慣などを指導しながら、子どもの体験と表現を大切にしたい。