ぽつりぽつりと街に人がもどってきている。もちろんまだまだ安心というわけではないし、マスクをして出掛けることはこれからもずっと当たり前のようなものになるかもしれない。

 収束した後も全部が全部元通りになるわけではないし、好きだった場所もいくつかなくなってしまった。ずっと気になっていた近所の中華屋さんも閉店してしまった。週に一度、歯医者に通うために駅前まで自転車でいく。毎週同じ曜日、同じ時間に予約をとっているので、まるで街の様子を定点観察しているような気分になる。しばらく休業します、という張り紙が剥がされないまま、その上から閉店の知らせが貼られているお店を見かけるたびに寂しい気持ちになる。

 この連載で紹介してきたような街の小さなお店を守るために今僕ができることはひとつだってない。京都のお店はみんな大丈夫なのだろうか。インターネットやSNSが当たり前のものになった今でも、その町に住んでいないと分からないことはたくさんある。

 毎日通っていた蕎麦(そば)屋さんを検索してみても、何年も前から更新されていないような古い情報しかでてこなかった。寂しいニュースも届かない、そんな距離のことを想っている。