滋賀県の守山市長選は現職の宮本和宏氏が無投票で3選を決めた。自民や立憲民主など5政党が推薦し、市議21人中20人の支持を得て、前回に続く無投票となった。実績が一定評価された側面はあるが、市政について複数の候補が政策を提示し、市民が選択する機会が失われたのは残念だ。宮本氏は幅広い意見に耳を傾け、丁寧に施策を説明する姿勢を一層心掛けてほしい。

 守山市は京都や大阪のベッドタウンとして発展が続いている。1970年の市制施行時は約3万5千人だった人口は2・4倍の約8万3千人に増えた。合計特殊出生率も1・7%台で推移し、人口増は2045年まで続く見通しだ。少子高齢化が進む多くの自治体と比べると恵まれた条件にある。

 しかし、急成長の陰で、さまざまな矛盾も生じている。

 JR守山駅西側の市街地では近年、中高層マンションの建設が相次ぎ、旧中山道の宿場町の面影があった街並みは一変した。狭い敷地での無理な開発も目立ち、住民からは生活環境や景観の悪化を訴える声も出る。市は先月、高さ制限を行う高度地区導入を発表したが、後手に回った感は否めない。

 一方で、琵琶湖に近い市北部地域では過疎化が進む。過去10年で人口が約15%減った地域もあり、高齢者の移動の不便さを嘆く声は切実さを増している。民間の事業者に配慮しながら、低料金の乗り合いタクシーなどによる地域交通の充実が求められている。

 守山市への出向が転機となり、国土交通省の課長補佐から転身した宮本氏は、国とのパイプを生かした堅実な行政手法が持ち味だ。2期目では環境センター建て替えの地元合意や、赤字だった市民病院の経営移行に道筋を付け、新図書館整備でも手腕を発揮した。一方、自転車で琵琶湖一周する「ビワイチ」の起点のまちを掲げ、湖岸地域の活性化に努めてきたが、波及効果は十分に表れていない。

 3期目は、耐震性が問題となった市庁舎の建て替えも控え、財政運営が難しくなることが予想される。また宮本氏がいう「のどかな田園都市の進化」には、地域格差を抑え、均衡ある発展への工夫を問われる4年間になるだろう。

 湖国の地方選挙では昨秋の栗東市長選も無投票となり、17年の東近江市、16年の湖南市など、近年は首長選で無投票が目立つ。今年は4月に統一地方選、7月に参院選がある。相次ぐ無投票は、民主主義の土台を揺るがす危機の表れとしても真剣に受け止めたい。