人間と動物が共生できる社会を目指す改正動物愛護法が、今月1日に施行された。

 動物虐待に対する罰則引き上げなどを手始めに順次、新たな施策が実施される。虐待抑止に向け、獣医師や行政、警察の情報共有など実効性を高める仕組みの整備が欠かせない。

 注目すべきは厳罰化へかじを切った点だ。犬や猫などをみだりに殺傷した場合、罰則は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に強化された。これまで器物損壊罪より軽いと批判されがちだったが、動物の命も尊い。虐待を許さないとの強いメッセージと受け止めたい。

 ペットブームの陰で、繁殖業者が劣悪な環境で動物を飼育したり大量に遺棄したりする問題が相次いでいる。インターネットに投稿された虐待動画で発覚する例もあるが、氷山の一角とみられる。

 こうした動物を診察した獣医師の通報義務化も始まった。ただ虐待を見極めるのは難しく、診療現場は悩ましい対応を迫られないか。環境省は先月、各自治体に通報窓口の明確化を求めたが、獣医師らが相談し、適切に通報できる態勢づくりが急務といえる。

 もう一つの柱は、繁殖業者やペット店への規制強化だろう。

 幼い犬や猫ほど人気があるが、生後56日以内の犬猫の販売を来年6月までに禁じる。かわいいからとの衝動買いや、結果として飼育放棄を防ぐ効果が期待される。

 所有者が分かるマイクロチップの皮下装着もペット業者に義務付ける。飼い主を特定することで安易に犬猫を捨てられないようにするのが狙いだ。チップには15桁の番号が記録され、ペットの身分証明として海外で普及しており、2年以内に導入される。

 無秩序な飼い方でペットが大量に繁殖し、十分に世話できなくなる「多頭飼育崩壊」を防ぐため、著しく適正を欠く密度で飼うことも初めて「虐待」と定めた。

 八幡市の民家で今月初め、数十匹の犬や猫の死骸が見つかった。ボランティアで飼い主がいない犬猫を保護して、多頭飼育崩壊につながった可能性があるという。「飼えない数を、飼ってはいけない」ことを肝に銘じたい。

 ペットを飼うには相応の責任が伴う。幼いうちは愛らしいが、成長し、やがて老い、介護を要するケースも多い。最期まで世話をする覚悟なしに飼うことは許されない。ペットを巡る問題を社会全体で受け止め、共生できる環境づくりを考えたい。