新型コロナウイルス感染症による休校が続き、延期論も取り沙汰された大学入学共通テストは、予定通り来年1月16、17日に実施される見通しとなった。

 文部科学省が、全国高等学校長協会のアンケートで国公私立高の約7割が予定通りの実施を求めていることを踏まえたという。

 新型コロナによる休校は今年3月以降、長い地域では3カ月に及ぶ。現在も分散登校などを続ける学校がある。

 短期間で再開した地域と比べ、受験準備に格差が生じるとして、首都圏の高校などは共通テストの時期の繰り下げを希望している。

 アンケートで多数ではないとはいえ、「準備が間に合わない」との訴えを見過ごすことはできない。住む場所によって受験生が不利益を受けてはならない。

 オンライン教育の実施状況により、公私立、学校間でも学習格差が生じているとの指摘もある。

 試験の実施には、公平性をいかに保つかが最も重要だ。

 受験生の立場に立てば、学習の遅れがハンディにならないことが大前提である。

 文科省は6月中に「大学入学者選抜実施要項」を公表する予定だ。試験の目指す方向性、内容を早く明確にする必要がある。出題範囲の絞り込みなども思い切って示すべきではないか。

 感染症が再流行する可能性も残っている。現時点で受験生が安心して試験に臨めるようにすることを第一にしてほしい。

 ただでさえ、現在の高3生は入試に振り回されてきた。

 共通テストは当初は、英語民間検定試験の活用と、国語と数学への記述式問題の導入が目玉とされていた。

 だが、公平性を担保できないなどとの批判を受け、いずれも土壇場になって見送られた。政治主導で拙速に突き進み、現場に大きな不安と混乱を招いた。

 受験生から「変更しないで」との声が出るのももっともだろう。これ以上混乱させてはならない。

 共通テストの日程は私大受験にも影響する。特に1万単位の志願者を集める都市部の大規模大は、変更となれば影響が甚大だ。受験生にとっては併願の日程が左右されることになる。

 予定通りの実施は、こうした事情が考慮された面も大きいのではないか。

 そうであるならなおさら、受験生へのしわ寄せは小さくしなければならない。