政府の業務を外部委託するのは、企業などが持つノウハウを事業運営に生かす利点があるためだ。「官民癒着」の疑惑を持たれては本末転倒ではないか。

 新型コロナウイルス対策の持続化給付金で委託費の97%が電通に再委託された問題は、外部委託を巡る契約が不透明になりやすい実情を浮き彫りにした。

 巨額の給付事務を民間団体に委ねながら、契約の全体像を把握しきれていない政府のずさんな管理体制もあぶり出した。

 改めて、委託の在り方について考え直す必要がある。

 今回の契約についても適切だったかどうかを解明し、公正な運営ができるよう新たなルールを設けることが不可欠だ。

 問題の給付事業は、経済産業省が769億円で一般社団法人のサービスデザイン推進協議会に委託、協議会は749億円で電通に再委託した。電通はさらに他企業に外注している。

 電通を含むこれらの企業は協議会設立に関わったとされる。協議会は法律に定められた決算公告をしておらず、業務実態も明らかではない。委託先になった理由も経緯も不明のままだ。

 疑問を抱かれるのも当然といえる。ただ、行政が行う発注事業には、これまでも同様の不透明さが指摘されてきた。

 会計検査院は2003年、各省庁が委託した調査研究事業のほとんどが随意契約で、約3割が再委託されていたと報告。国土交通省が06年度に委託した調査研究業務で受注額の50%超の業務を再委託していた5法人の中には、「資料整理」など曖昧な名目の外注があった。

 京都市でも09年、交通局から地下鉄設備の点検などの業務委託を受けていた市外郭団体が、業務の大半を民間企業に再委託して得た剰余金を積み立てていたことが発覚している。

 再委託が無制限に広がると、事業に対する責任の所在が不明確になる。業務運営が適切に行われているかどうかの検証も難しくなる。放置しておくことは納税者への背信となろう。

 再委託については06年8月、財務省が各省庁に対し、委託契約の一括再委託の禁止を通達した。委託先が再委託する場合や再委託先が外注する際も、審査や報告などによって契約が適切に履行されるよう求めた。

 省庁の中には再委託の割合に上限を設けるところもある。だが、多くの省庁は「個別に審査する」などと、自主的判断による適正さの確保を強調する。

 だが今回の給付金事業では、発注側の梶山弘志経産相が業者の状況を把握しきれていないようすが見てとれる。政府が民間に業務を実質的に丸投げしているかのようだ。無責任と言われても仕方ないだろう。

 事業の内容について政府が説明責任を尽くすのは当然だが、委託の在り方が妥当かどうかも厳密にチェックできる仕組みを整えなくてはならない。国会や会計検査院はいっそう監視の目を光らせる必要がある。

 持続化給付金の委託費は、12日に成立した第2次補正予算にも約850億円が盛り込まれている。疑問を持たれるような委託契約があってはなるまい。