2017年に安倍晋三内閣が野党議員の臨時国会召集要求に約3カ月応じなかった対応を巡り、那覇地裁が先週、内閣は召集の法的義務を負うとする判断を示した。

 召集要求の放置が違憲だったかの結論は出さなかったが、内閣には合理的な期間内に応じる義務があるとした。

 憲法53条は、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば内閣は臨時国会召集を決定しなければならないと定めている。

 判決は、内閣が恣意(しい)的に召集を判断することは憲法違反になりうるとの考えを示したものだ。安倍政権は真摯(しんし)に受け止め、指摘され続けてきた国会審議軽視の姿勢を改めなければならない。

 17年の召集要求は、森友・加計学園問題に関する疑惑を解明するためとして出されていた。安倍内閣は98日後にようやく召集したが、会期冒頭で衆院を解散し、審議は行われなかった。このため、沖縄県選出の国会議員らが質問や討論の権利を奪われたとして、国に損害賠償を求めていた。

 判決は、憲法53条の意義は少数派の国会議員の意見を国会に反映させることだと指摘した。召集時期を遅らせるなどして内閣が義務を怠れば、国会による内閣へのチェック機能が果たせなくなるおそれがある。当然の指摘である。

 菅義偉官房長官は、原告の賠償請求が退けられたことを受けて「国の主張が認められた」と述べたが、都合よく判決を解釈すべきではない。請求棄却は、内閣の法的義務は一人一人の国会議員に対するものではないと認定したからにすぎない。

 裁判で国側は、臨時国会召集は「高度に政治的な行為」だとして司法審査権は及ばないと主張したが、判決は「召集が合理的な期間内かは裁判所が判断できる」と明確に退けている。臨時国会の召集要求無視が正当化されるものではないのは明らかだ。

 政府・与党は、開会中の通常国会をあす17日の会期末で閉じる方向だ。政府提出法案の大半を成立できたためとしているが、新型コロナウイルスは感染の第2波が懸念されている。

 野党は会期延長されない場合、憲法に基づく臨時国会の召集を求める構えを見せている。だが、安倍首相は9日の衆院予算委員会で召集するかどうかについての明言を避けた。

 判決は国会審議を避けようとする政権への警鐘である。召集要求に誠実に応じなければならない。