福知山市長選で現職の大橋一夫氏が再選された。4年間の実績を基に、子育てや教育環境の充実を訴え、新人3人を制した。

 ただ大橋氏の得票は1万3754票と、一騎打ちに圧勝した前回より約7700票減り、得票率も44%にとどまった。批判票に込められた思いを重く受け止める必要がある。

 選挙戦では主に、市の計1123事業を検証した大橋氏1期目の看板施策「全事業棚卸し」の是非が問われた。

 事業の統廃合や予算の見直しを行い、福祉事業のカットや地域行事への補助金の削減なども含まれている。批判や異論はあったものの、市政運営の方向性を支持し、次なる施策の展開に期待する有権者が多かったと言える。

 4年前に市政刷新と「経営力のある市政」を掲げた大橋氏だが、積み残した課題は多い。その一つは水害などの防災対策だ。

 市は2013~18年の5年間で4回も大水害に見舞われた。14年は4千戸、18年も千戸以上が浸水し、住民には暗い記憶が残る。

 国や府と進めた市街地の大規模な治水対策は先月完了したが、大江町域などの由良川支流対策はまだ途上にある。整備を急がなければならない。

 高齢者世帯を中心に住民の安心・安全を守るため、自治会ごとの防災マップ作成や、避難対策の専用アプリ開発などの事業も充実させる必要がある。

 周辺部では人口減少や過疎化が進む。06年の合併時は人口10万人を目標にしたが、現在は7万7千人。特に旧3町域で著しく、市民サービスや山間地域の交通問題などを巡り、中心部との「格差」を嘆く声は根強い。

 大橋氏は、稼げる農業の推進、遠隔医療の実証実験の開始など格差解消の手だてを訴えてきた。任期中に迎える合併15年を機に、合併後の歩みを総括することも重要だろう。

 2期目は、より幅広い声に耳を傾けてほしい。4年前に開学した福知山公立大の学生ら若い世代の活力を、もっと周辺地域に生かす知恵や工夫を集めたい。

 市は合計特殊出生率が府内トップ(1・96)など生活面の評価は高い一方で、まちの個性が見えにくいとの指摘もある。

 コロナ禍で疲弊する地域経済対策や観光振興を含め、市の将来像を具体的に示しながら大橋カラーを鮮明に出してほしい。大橋氏の構想力と実行力に期待したい。