暗闇に、巨大な人造物が照明でぼやっと浮かび上がる。京都府久御山町の深夜2時の姿を、地元で生まれ育った画家の八木佑介さん(28)が描いている。岩絵の具を使い、黒地に無数の点描で表す光のグラデーション▼先日、京都市で個展を開いた。巨椋池干拓田から望む第二京阪道路、洪水を防ぐ排水機場、昼間のにぎわいと対極の商業施設、田畑の横に立つ自販機…▼絵の中に人影はないが、豊かな生活を求める人間の営みが光の点で表され、その塊が、見る人をのむように静かに迫る▼「闇を光が隠す」と八木さんは表現する。その光の広がりのように、久御山は変化の急な町だ。道路網充実で企業進出が相次ぎ、新市街地を造る計画が進む。人手不足もあって技能実習生が増え、外国人住民比率は府内トップ級。工業地の地価は国内有数の上昇率を示す▼10月1日に町制65周年を迎える。式典や「町の鳥」選定、よく目立つ京都放送ラジオ電波塔のライトアップ(11月から)と催しが続く。久御山町は5年ごとに周年記念事業を行うが節目の刻み方は動きに合ったペースかもしれない▼工場や物流拠点が並ぶ近くに、淀大根や九条ねぎの農地が広がる。農と工、どちらも久御山の顔。この町の多様性と変化、絵心はなくても何かに記し、とどめておきたい。