「おとぎ話」を辞書で引くと、日本では通夜などの退屈を慰めるために語り合ったのが元来で、子ども向けになったのは江戸期以降のようだ。大人になれば卒業と思っていたら…▼国連の気候行動サミットで、スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)が、温暖化対策の各国指導者を前に、「あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ」と怒りをストレートにぶちまけた。その激しさに驚いた▼科学が危機を示し、私たちは絶滅に差し掛かっているのに、大人たちは目を背けて、おとぎ話をしている、というのだ。本来は理想に走る若者だが、どちらが大人か分からない▼サミットでは多くの国が2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにすると表明したが、一方で米国や日本の消極姿勢は相変わらずだ。グレタさんは失望しつつも、「変化が訪れようとしている。あなたが好むと好まざるとにかかわらず」とさらなる挑戦を宣告する▼変化とは何か。国連に集まったような、世界の若者たちの行動ではないか。香港では自由、米国では銃規制を求め、高校生たちが立ち上がっている▼さて大人たちといえば。温暖化がもたらす甚大な自然災害を想定外と慰めている。現実を見ないおとぎ話と気づかないか。