「ほら見て。ムカゴはヤマノイモの赤ちゃんみたいなもんやな」

 秋も深まり枯れた葉にぶら下がる小さな実をポロポロと手で外しながら、植物に詳しい友人が教えてくれました。緑がさほどない住宅街を歩きながら「ミョウガがなってるわ」と土からポキっと折り、「おみそ汁に入れてみ」と得意げに手渡してくれたり、雑草の中からササ科の植物を見つけてはその先っぽをヒョイと抜き、「柔らかいとこだけかじってみ。青い香りがするで」。友人のあふれ出る植物の話の数々は、街のいたるところに旬があることを教えてくれ、私を根っからの食いしん坊にしたといっても過言ではありません。

 以来、街中をキョロキョロと見渡すように歩くのが季節の楽しみとなりました。私もブタさんみたいにトリュフでも見つけて、みんなにエッヘンと得意げな表情をしてみたいものだわ、なんてできもしない理想を語りたくなる秋のひと時です。

小平泰子

こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan