市境にある救護施設の建設予定地。2020年4月に開所予定

市境にある救護施設の建設予定地。2020年4月に開所予定

 京都市の保護施設再編で市境に生活保護受給者の救護施設を整備する計画に、京都府向日市の住民が不安や説明不足の声を上げている問題で、京都市は23日、京都市議会・教育福祉委員会で、「向日市と京都府の両者には昨年8月9日に説明し、適切に情報提供しているとの認識」と答弁した。向日市は「8月段階で京都市からあったのは救護施設の場所と開設時期、法人名で、何をもって適切というのか」とし、認識が食い違っている。

 現在の京都市中央保護所は京都駅から徒歩圏内にある。京都市は市中央保護所を廃止し、民設民営の救護施設とする方針を2016年に決定。向日市と接する用地(京都市伏見区)に開設予定。運営法人の決定は昨年8月で、新施設の定員は救護施設60人、緊急一時宿泊施設40人を併設と増える。

 この日の委員会で、京都市保健福祉局は「着工は昨年12月見込みだったが遅れている。開設予定の来年4月に向けてしっかりやっていきたい」と答弁。向日市での住民説明会について「救護施設の必要性を説明した。用地がなぜあの場所なのか、向日市役所を含めた協議の場をもうけてほしいなどの発言があったが、物別れというか合意できず終了した。今後は自治会など小さなコミュニティーでしっかり説明させていただきたい」と述べた。

 また委員会の質疑では、法人が公募の1年半前に用地取得していた経過について、市保健福祉局が「京都市が情報を流して出来レースではないかと言われているが、京都市から何か伝えたということは一切ない」と答弁した。

 今月13日夜の住民説明会には約500人が参加。向日市民が「施設の必要性は理解しているが、京都市の中心部ではなく、なぜあの場所なのか」「最寄り駅は向日市の阪急西向日駅。トラブルがあっても、京都市にとっては『行政区域外』とするのでは」などと、懸念を次々と口にした。

 向日市は、昨年11月まで施設の詳細や経緯を伝えられておらず、住民に情報発信できなかったとしている。向日市議会は昨年末、「一定の住民理解が得られるまで工事着手を見合わせるよう要望する」との意見書を可決、京都市に提出した。

 施設を運営する社会福祉法人みなと寮(大阪府河内長野市)はこれまでに、入所者は精神や身体の障害などでさまざまな生きづらさを抱えているとし、「受け皿がないばかりに一般社会で生活できない人を支える。その役割を果たしたい」と話している。