うま味や食感を植物由来の原料から再現した「代替肉」が注目を集めている。米国のハンバーガーチェーンなどで採用が相次ぎ、日本にも広がっている▼健康志向の高まりに加え、コロナ禍による食肉供給の減少で引き合いが急増。アフリカ豚熱(ASF)と相まって豚肉が不足した中国でも開発競争になり、米中覇権争いの様相という▼主に大豆から油を搾って熱や圧力で食感を出し、味付けをして作る。まるで日本の精進料理に伝わる「もどき料理」と同じではないか。豆腐で模したウナギのかば焼き、赤こんにゃくの刺身など、仏教で禁忌の肉や魚を避けた食材に手間と工夫を凝らす▼もどきは、まねたり似たりするものをいう。紛らわしいが、単なる偽物ではない。限られた材料を驚く姿に変身させ、客を楽しませるもてなしだ▼さて、コロナ対策と両立を目指す「夜の街」の新スタイルは受け入れられるだろうか。人と人との距離を1~2メートル空け、寄り添って歌い踊る接客の自粛などが再開指針に掲げられた。無粋で魅力がない、採算も合わない「似て非なる」姿と悲観論も聞かれる▼だが、難しい制約の中で、ひと味違った楽しみ方を「もどき文化」に学んでみてはどうだろうか。コロナとの共生時代が続くなら、代替品が本物になることだってある。