淀川治水協定により事前放流の運用が始まる永源寺ダム(東近江市)

淀川治水協定により事前放流の運用が始まる永源寺ダム(東近江市)

事前放流による洪水調節可能容量

事前放流による洪水調節可能容量

 滋賀県などは6月から、県内の農業用ダムなど10ダムに洪水調節可能容量を設定し、基準を超える大雨が予想される場合にあらかじめ貯水位を下げておく「事前放流」の運用を開始している。かんがい期(9~10月)のみ確保可能な容量と合わせ、従来の2・7倍となる最大4335万立方メートルを貯水できるようにし、洪水被害を軽減する。


 既存ダムによる洪水調節機能の強化は、気候変動を背景とする水害の激甚化を踏まえた防災・減災対策の一つで、国土交通省が4月に事前放流ガイドラインを策定。水害リスクが高まる梅雨・台風シーズンに備え、5月29日に県や市町、利水者の土地改良区などが「淀川水系治水協定」を締結し、豪雨前の事前放流やかんがい期の水位低下操作に合意した。
 新たに洪水調節可能容量を設定するのは、いずれも農業用の永源寺ダム(東近江市)、野洲川ダム(甲賀市)、蔵王ダム(日野町)、犬上川ダム(多賀町)。24時間当たりで過去最大の雨量が予想される場合、3日前から各ダムで最大72・5万~3・5万立方メートルを放流して容量を確保する。取水用の既存設備で放流する。
 多目的ダムの青土ダム(甲賀市)、治水ダム(県内5カ所)では、既に設定されている洪水調節容量を使い切る規模の雨量が予想される場合、新たに440万~25万立方メートルを放流して豪雨に備える。
 各ダムの操作規定を変更でき次第、運用する。事前放流後に貯水位が回復せず、渇水が発生した場合は国や県が補償する方向で検討する。