日本に広く分布するヒトスジシマカ。蚊が新型コロナウイルスを媒介する可能性は「極めて低い」と専門家は言う(国立感染症研究所昆虫医科学部提供)

 新型コロナウイルスについて世界保健機関(WHO)は「蚊に刺されても感染しない」としている。国立感染症研究所の葛西真治・昆虫医科学部長は「新しいウイルスなので『絶対ない』とは言えないが『蚊が媒介する可能性が極めて低い』ことは確かです」と話す。

 根拠の一つは他のコロナウイルスの性質。人間の風邪の原因になる4種類が知られているが、これまで蚊が広げたと確認された例はない。

 蚊がウイルスを媒介するには、幾つもの要件が同時にそろわなければならない。まず、感染者の血液中に大量のウイルスが含まれること。吸血で蚊に取り込まれたウイルスが、蚊の体内の防御機構をくぐり抜け、消化管や唾液腺で十分に増殖する必要もある。「これらをクリアできるウイルスは少ない」と葛西さん。

 とはいえ、デング熱や日本脳炎など、蚊が媒介する感染症は既にある。蚊がいそうな屋外では長袖、長ズボンを着用したり虫よけ剤を適切に使ったりして、蚊に刺されないよう工夫したい。