昨年10月に生徒の転落事故が起きた中学校体育館2階の管理用通路。窓の外側に柵は施されていない(京都市内)

昨年10月に生徒の転落事故が起きた中学校体育館2階の管理用通路。窓の外側に柵は施されていない(京都市内)

 京都市教育委員会が昨年10月から全ての市立小中高校の体育館2階管理用通路に児童、生徒が立ち入ることを禁止にした。市内の中学校で同通路から生徒が転落した事故を受けた措置だが、「2階から試合の応援をしたい」との声は根強い。子どもの安全確保と応援者の要望をどう両立させるか、学校は難しい対応を迫られている。

 事故はバスケットボール部の試合中に起きた。生徒が体育館2階通路で観戦中、開いていた窓から外側の約3・5メートル下の地面に転落した。窓には柵がなく、当時はカーテンが閉まっており、生徒は「カーテンに引っかかって転落した」と話したという。

 市教委はその後、全ての市立小中高校に2階管理用通路への児童・生徒の立ち入り禁止を徹底するよう通知。「2階通路は窓やカーテンの開閉用などのためのもので、観戦を想定したものではない」ことが理由だった。これを受け、市中学校体育連盟バスケットボール専門部は、市内の大会では、選手が控える1階の「ベンチ」にも応援者が入れるようにした。

 しかし、2階から観戦したいとの声は根強い。2階から応援したことがあるという市内のバスケ部の中学2年生男子(14)は「試合で保護者や生徒が多いと1階の応援場所はごった返す。2階は広範囲に声が届くので、気を付けて入れるようにしても良いのでは」と話す。バスケ部顧問だった元府立高教諭(62)は「2階から観戦する光景はよくあった。安全第一のため、立ち入り禁止は仕方ないが、スポーツは『見る』『応援する』ことも教育の一つ。何らかの対策を考えてほしい」と求める。

 ただ、市教委は「基本的に体育館の2階通路は観戦できる設計になっていない」として今後も開放はしない考えだ。文部科学省は2008年、東京都内で児童が校舎の天窓から落下して死亡した事故を受け、学校施設での転落事故を防ぐマニュアルを作成。教室などについては「暗幕(カーテン)使用時は窓の開閉状況に注意する」「腰壁の高さや窓の形状に応じ、手すりの設置や窓の開閉方式を検討する」などと今回の事故防止にもつながる対策を記載するとともに、危険性が高い場所には生徒を近づけないようにも学校に求めている。

 学校でのスポーツ事故や部活動の問題に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「そもそも体育館は体育の授業に使うためのもの。観戦が伴う部活の試合を想定して設計されていないために、こういった問題が起きる。観戦がしたいなら対応できる市民体育館などの施設を活用すべきだ」と指摘する。

 近年は子どもの試合に応援に来る保護者も多いという。観戦の十分なスペースが確保できない体育館で、生徒の安全確保を最優先にしながら応援者の要望をどう満たすか。学校側の工夫が求められている。