日本遺産に認定された琵琶湖疏水(京都市山科区)

日本遺産に認定された琵琶湖疏水(京都市山科区)

 文化庁は19日、地域の有形・無形の文化財を組み合わせて魅力を発信し、観光振興などにつなげる「日本遺産」に21件を新たに認定した。

 京都と滋賀からは「京都と大津を繋ぐ希望の水路 琵琶湖疏水~舟に乗り、歩いて触れる明治のひととき」(京都市、大津市)、「海を越えた鉄道~世界へつながる 鉄路のキセキ~」(滋賀県長浜市、福井県敦賀市、同南越前町)が選ばれた。

 日本遺産は2015年度からの累計で104件となり「20年度までに100件程度」とした目標に到達したため、今回で認定は最後とし、当面は追加しない。

 今後は既存の遺産の底上げを図る方針で、選考で漏れた候補の扱いも含めて有識者委員会で具体策を検討する。

 これまで認定遺産がなかった東京都からも「高尾山」が初めて選ばれ、全都道府県に拡大した。高尾山は、養蚕で栄えて「桑都」と呼ばれた東京都八王子市の養蚕農家や絹商人により信仰されてきた歴史が、高い評価を得た。

 このほか、サケを通じた自然の営みやアイヌ、ロシアとの文化交流を取り上げた北海道の「『鮭の聖地』の物語」などが選ばれた。

 日本遺産は、地域の文化財や伝統芸能を物語としてまとめ、観光振興などで地域活性化を図る制度。今年は69件の申請があった。例年行っている認定証交付式は、新型コロナウイルスの影響で行わない。

 明治時代に築造された琵琶湖疏水は、京都近代化を図る基幹事業だった。京都に琵琶湖の水の恵みをもたらす運河は、事実上の東京遷都による衰退からの再興を狙いに、経済的な発展や文化面の振興に貢献し、上水道の水源として今なお現役で利用されている。

■経済・文化振興、通船観光も魅力

 1890(明治23)年、大津市の琵琶湖岸から京都市の鴨川までの「第一疏水」と、蹴上で分岐する「疏水分線」が完成した。94年に伏見までの「鴨川運河」、1912年に第一疏水に沿う「第二疏水」もでき、現在の総延長は約31キロ。西洋の新技術を取り入れ、建設主任技師の田邉朔郎をはじめ、すべてを日本人の手で行った国内初の大型土木工事とされる。