新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして、政府が求めてきた都道府県境をまたぐ移動自粛がきのう、全面的に解除された。

 感染が一部の範囲に抑えられているというのが理由だ。先月25日に緊急事態宣言を全て解除した際に掲げた再開指針の日程に沿い、社会経済活動の水準を一段引き上げたといえる。

 イベントの人数上限も千人まで緩和を進め、プロスポーツは無観客で認めた。3カ月遅れでプロ野球が開幕し、多くの人が日常回復への足取りを実感しただろう。

 もちろん、手放しでは喜べない。移動する人の数や範囲が広がるにつれ、感染拡大のリスクも高まるからだ。

 あらゆる場面で「3密」を避ける行動が求められる。以前の姿に戻るのではなく、生活や働き方、旅行・レジャーなどでも、適切に変化できるような支援や対応が官民ともに求められよう。

 感染の実態と対処の態勢をしっかりと見極めながら、ふさわしい社会経済活動をどう回していくのか。手探りながらも一歩ずつ進むほかあるまい。

 越県移動の解禁について、安倍晋三首相は「できるだけ制限的ではない手法で、感染リスクをコントロールしながら経済を回していく」と考え方を説明した。

 あくまで第2波、第3波の流行にも対応できる備えが前提だ。

 だが、東京都では今週、新たな感染者が再び増えている。夜の繁華街で広がり、経路不明者も少なくない。新型コロナ感染のコントロールは未知数なのが現実だ。

 政府は、唾液を検体に使って簡便に感染を調べられるPCR検査を導入する方針だ。遅れていた検査体制の大幅拡充によって感染実態を的確に把握して対処できるかが、さらなる活動水準の引き上げには不可欠だろう。患者が急増する事態に備えた医療体制の補強も課題だ。

 地域経済に目を向けると、止まっていた観光が段階的に緩和される。大半の入国制限が続くため訪日客は当面望めず、近郊から国内全体へと誘客を広げていく形となる。

 国の需要喚起策「Go Toキャンペーン」のほか、京都府や滋賀県は7月から宿泊費補助など独自策を打つ。感染防止策を踏まえた旅行スタイルや観光ニーズをつかみ、新たな提案につなげたい。

 同時に、観光施設の予防対策や来訪客への検査・医療体制も再点検し、安心して訪れ、接客できる観光を目指したい。