EM本の表紙。「米國寄贈 販賣禁止」と判が押されている。

EM本の表紙。「米國寄贈 販賣禁止」と判が押されている。

米軍が提供した教科書と、調査した多田教諭(京都市右京区・嵯峨野高)

米軍が提供した教科書と、調査した多田教諭(京都市右京区・嵯峨野高)

 戦後、米軍から日本の高校、大学などに大量に寄贈された米軍兵士向けの一般教養教科書「EM本」について、嵯峨野高(京都市右京区)の司書教諭多田英俊さん(61)が調査している。一昨年に同高で発見したのがきっかけで、多田さんは「米軍が日本の戦後教育の民主化のために配布した経緯が体系的に分かった」としている。

 多田さんは2017年3月、図書室の棚から「EM 米國寄贈 販賣禁止」などと判が押された60冊を発見した。興味を持ち、米国の公文書などで調査を始めた結果、1947年に米陸軍第8軍が75万部の余剰教科書を日本に無償提供すると連合国軍に申請した文書を確認。文書には「日本の学校で再教育、再適応用の補助教材として使用すること」などと記されていた。

 最終的に48年に48万部が全国の大学や旧制中高などに配布され、嵯峨野高の前身の嵯峨野高等女学校にも届いたとみられるという。同年には当時の文部省が各学校長らに「米国軍の好意により英文教科用図書の寄贈を受けたので、教育上遺憾なく活用せられたい」とする通知を出していた。

 多田さんは「本自体は大学などでも確認されており珍しくないが、寄贈の経緯を体系的に調べた研究はほとんどない」とし「当時、米国が戦後日本の民主的教育の確立を強く考えていたことは分かったが、日本は教育改革を慌ただしく進めていた時で、英文のEM本がどれだけ活用されたかは不明だ」と話す。

 今後は、実際にEM本を見たり使ったりした人の証言を集める予定で、同高図書室でEM本の展示もしている。