京都府精華町役場の入り口に置かれた、家庭の食品ロスの実態を伝える写真パネル。同町はロス削減に向けて冷蔵庫整理のキャンペーン中で、10月に講座を開く予定だ(精華町南稲八妻)

京都府精華町役場の入り口に置かれた、家庭の食品ロスの実態を伝える写真パネル。同町はロス削減に向けて冷蔵庫整理のキャンペーン中で、10月に講座を開く予定だ(精華町南稲八妻)

 私には2歳半の息子がいる。肉やウインナーが大の好物。「野菜もおいしいで」と言っても、食べる量にむらがあり、食べ残しも多い。

 まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」。国内では推計643万トン(2016年度)に上り、半分近くが家庭から。国民全員が茶碗1杯分のご飯を毎日捨てている計算で、国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食糧援助量の約2倍だ。

 今年5月には「食品ロス削減推進法」が成立。国や自治体、事業者の責務を明記し、消費者の自主性も促す。こうした動きを受け、学校やフードバンク団体、家庭やスーパーなどを取材し、7月に「減らせ食品ロス」と題して本紙山城版で連載した。その過程は、自分や家族の「食」を見つめ直す機会にもなった。

 冒頭の状況もそう。息子の食べ残しは、私が「残飯処理係」として意識して平らげるように。あらかじめ、自らの皿に盛る量は控えている。

 料理する際はニンジンや大根の皮、シイタケの軸なども使い、調理くずは減った。昼ご飯は外食を控え、余り物を詰めた弁当が定番化。冷蔵庫の確認を心掛け、賞味期限まで1カ月以上あって食べ切れないものは、困窮世帯向けなどに食品を集める「フードドライブ」に持参している。

 ごみ袋の開封調査を長年続ける京都市は、4人家族の食品ロスを年間約6万1千円、ごみの運搬や焼却処理でさらに4千円かかっているとはじく。裏をかえせば、無駄を減らすと家庭や自治体の財布にも優しくなるのだ。

 京都府精華町も家庭のごみ袋を調べ、中身の2割程度が食品ロスと分かった。同町の庁舎入り口に置かれた、手つかず食品の写真パネルは強烈だ。私も腐らせてしまった食材は、自戒を込め、ごみ箱行きの前に写真に収めている。

 小売業界では、賞味・消費期限前に廃棄する商習慣を見直す機運があるほか、ロス削減の動きは学校給食でも。宇治市の小倉小では10分以内の配膳に努め、食事の時間を約30分確保している。4年生の児童は「時間をかけることでたくさん食べられるようになり、嫌いなものも減った。給食の時間が楽しくなった」と笑顔を見せる。

 ごみ処理、貧困、地球温暖化など、さまざまな問題と絡み合う食品ロス。削減推進法に基づき、政府は本年度中に基本方針を定める予定で、それを受けて各自治体は推進計画を作ることになる。

 京都大地球環境学堂の浅利美鈴准教授は「食品ロスは複合的な要因で発生するが、逆に言えばできることも多い。誰もが関わることであり、『もったいない』『足るを知る』といった感覚を取り戻したい」と指摘する。

 個人的にも、肩肘張らず楽しく、でも意欲を持ち「もったいない」を習慣にしたい。そんな父の姿をわが子に示すことで、ゆくゆくは残飯処理係も卒業できたら。