僕が育った石川県には、大きな地下のバスターミナルとちょっとしたモールが一体化している駅なんてひとつもなかった。大きな町の駅でも、電車を降りてから買い物や映画を見られるような場所にいくにはバスに乗ったり、大きな道路沿いをてくてくと歩かなくてはいけなかった。だから、北大路駅にくるたび異様にワクワクしてしまう。

 4階建ての建物にはスーパーはもちろん、たいやきやアイスが買えるスペースや家電屋に本屋、ファストファッションに家具屋、ロイヤルホストにバーミヤン。そしてなによりちょっとした景色が見られる屋外のスペースが好きだ。町へと帰る人を乗せたバスが地下から上がってくるのを眺めているのが好きだ。

 2階から上の階の内装もガラッと変わったし、バーミヤンもロイホも街のデパートのゲームセンター感がグッとくるキッズプラネットもいつの間にかなくなってしまったけれど、それでもまだ階段の踊り場や店舗の隅の埃(ほこり)っぽい場所から、なんともいえない懐かしさやそこに染み付いた生活の匂いが忍び寄ってくるようで、何の用事があるわけでもなく、1階から4階まで僕はふらふらと店内を歩くのです。