学習進度や関心に合わせた個別カリキュラムで学ぶ子どもたち(亀岡市・学びの森)

学習進度や関心に合わせた個別カリキュラムで学ぶ子どもたち(亀岡市・学びの森)

 学校という「レール」から外れたら、子どもたちはどこで学ぶのだろう-。不登校になった児童生徒が通うフリースクール「学びの森」(亀岡市)を昨年5月から1年近く取材した。人への信頼や自信を取り戻していく姿に、学校以外で学ぶ場の必要性を感じた。

 「ここでは弱さを笑う人はいない。自分をさらけ出せ、ありのままを認められた」。今春の卒業生はそう言って希望の大学に進学した。学校に行けなくなり、もがき悩んだが、傷ついた経験を未来へ進む力に変えた。

 学びの森を初めて訪れた2015年当時、報道部で教育を担当していた。不登校が減らない現状に、国ではフリースクールや自宅での学びも義務教育として認めて公的資金を出すことについて議論が行われていた。

 民家に併設された教室で、子どもたちは生き生きとしていた。不登校という言葉につきまとう暗さはなかった。丹波総局に赴任したのを機にじっくり接していくと、笑顔の裏側にある深い心の傷が少しずつ見えてきた。

 学びの森では、進度や関心に合わせた個別カリキュラムで勉強する。国語や社会科では文章読解や時事について活発に議論し、大学生や社会人からも生き方を学ぶ。全員同じ活動や規律を求められる学校と違い、教育の中心が個人に据えられていると感じた。そんな環境で変化していく子どもたちの姿を、地元丹波版の連載記事で伝えた。

 かつてフリースクールは、不登校を助長するとして公教育とは水と油のような関係だった。そこに今、少しずつ変化が起きている。

 多様な学び方の重要性を明記した「教育機会確保法」(確保法)が、16年12月に国会で成立した。義務教育化といった当初の議論から後退はしたものの、文科省は20年と21年度に改定される小・中学校の新指導要領に不登校支援を盛り込み、「学校復帰」を前提とした指導法を改める方針を公表している。

 京都府教育委員会は昨秋、教員研修を初めて学びの森で開いた。中堅教員が学校教育が持つ課題について生徒たちと意見を交わした。橋本幸三教育長は「不登校が増える原因は学校にもあると考えざるを得ず、変わらなければらならない」と明かす。「それでもなじめない子はゼロにはならず、民間の存在は欠かせない」とも。

 フリースクールが本当に開かれた存在になるには課題が残る。実質的に「私塾」のため、保護者の学費負担は重い。府教委が認定するのは6施設しかなく、受け入れられる人数もわずかだ。文科省は「確保法」制定の際、義務教育化と公的資金投入を見送った。経済支援の具体策については審議会で検討中だ。教育行政の関与が強まれば、フリースクールの個性が失われかねない懸念もある。

 それでも、不登校は誰にでも起こりうるというのが取材を通じた実感だ。経済面も含めて通いやすい環境を整えることが必要だと考える。子どもたちの未来を閉ざさぬよう、学びの選択肢を充実させるべきだ。