舞鶴市議会6月定例会で、コラムについての質問に答える多々見市長(6月13日、舞鶴市北吸・舞鶴市議会議場)

舞鶴市議会6月定例会で、コラムについての質問に答える多々見市長(6月13日、舞鶴市北吸・舞鶴市議会議場)

 舞鶴市の多々見良三市長(68)が、市の広報誌5月号に掲載したコラムが物議を醸している。「他の議員団と合意できない少数議員団の公約は、全く実現が不可能」などの表現に市民や議員が反発するが、市長は「議会の仕組みをわかりやすく述べただけ」と意に介していない。取材を通して見えてきたのは、市長と議会との関係や議会の在り方の問題だと感じている。

 今回のコラムに対し、読者や取材先の市民からは「少数意見を軽視している」「有権者の投票先を誘導している」との声を聞いた。市長与党の市議でさえ「言い過ぎだ」「誤解を招いている」と話す人もいた。私自身がコラムには違和感を抱いたのは、市長が過半数を占める会派(議員団)だけしか相手にしていないように思えたためだ。

 舞鶴市議会では現在、定数26のうち保守系と公明党の3会派(19人)が市長与党だ。そのため、3会派の賛成さえ取り付ければ、事実上、議案は全て可決できる。だが、少数会派や無会派の議員も、有権者の信託を受けて選ばれている。舞鶴市議会の議員研修会で講師を務めたことがある龍谷大の土山希美枝教授(地方自治論)はコラムについて、「議員は等しく市民の代表であり、議案ごとに自ら判断する権利と責任がある。会派を固定された政治集団と見て数合わせする発想と実態があるのでは」と指摘する。

 実際に市議会を傍聴すると、各議員の考えより、政党や会派の方針が優先され、議案の賛否が決まっている印象を受ける。そうした現状が、多数派を占める会派だけ賛成してもらえればいいと受け取れる市長のコラムにつながっているのではないか。

 またコラムでは「公約を実現できる候補者を選んでいただきたい」と述べられているが、以前滋賀県で勤務していた際、難病の娘がいる女性は少数会派の議員に1票を投じたと打ち明けてくれた。「他の議員よりも私の話を真剣に聞き、難病患者支援に力を入れると言ってくれたから」という。誰にどんな理由で投票するかは有権者の自由だ。投票した候補者が当選するかどうかも、当選してからどの会派に属するかもわからないのに、予算執行権を持つ市長自らが投票先を誘導するような発言はふさわしくない。

 多々見市長は、市議会について「少数派の意見が多数派になったのを見たことない」と記者会見で主張した。だが現実を見れば、障害者や難病患者、LGBT(性的マイノリティー)の問題にしても少数の人たちが声をあげ、政治や社会を動かしてきた。

 市議会には、市民の声を市政に届けるのが役割であるなら、小さな声も大切にする姿勢を見せてほしい。多数少数の会派を問わず議員の有意義な提案や意見を、議論を通じて政策に反映させることができれば、議会の役割や存在意義を示せるだろう。また市民も、市政や議会に関心を持ち、ぜひ声をあげてほしい。