長岡京市市立保育所のO157感染事案の経過

長岡京市市立保育所のO157感染事案の経過

 長岡京市で4月30日、市立保育所の5歳女児が腸管出血性大腸菌O157に感染し死亡するという痛ましい出来事があった。4月以降にはこの女児を含めて同じ保育所で5人の感染が確認されて順次公表されたが、3月にも4歳男児が感染していた事実は伏せられていた。その後の調査で3月の感染と4月以降の感染は関係があった可能性も判明している。感染拡大防止の観点から、保育所などに通う子どもや介護施設などを利用する高齢者らに感染が確認された場合、関係機関は、初発の人数によらず速やかに公表を検討する必要があるだろう。

 乙訓保健所や長岡京市によると、亡くなった5歳女児は4月18日に感染が確認され、同日から入院した。20日に5歳男児、22日に5歳女児の感染が確認され、保育所が休所措置となった24日も4歳男児の感染が判明した。専門業者による園舎の消毒作業などが行われていた大型連休中は女児の死亡や4歳女児の感染確認があった。報道機関へは、長岡京市が「3人が感染」と発表した22日が最初だった。

 4月以降の発生の約1カ月前の3月20日には、4歳男児の感染が確認されていた。この男児は体調不良で19日から休園し、その後の2回の検査で陰性が確認されたため、29日に通園禁止措置が解除されていた。3月にも感染があった事実は、長岡京市が5月11日に開催した保育所の保護者説明会で初めて報告された。

 なぜ、3月の感染の公表は長らく控えられたのか。京都府の各保健所は、集団感染や感染者の死亡など特別な事案を除き、O157の感染は個別に発表していない。3月の時点ではその前例に沿ったとしても、複数人に感染が広がった4月には公表するべきだっただろう。非公表について、市は「乙訓保健所との協議の上で決めた」とし、協議内容について、同保健所は「3月に感染した男児は同月内に陰性となっていることなどから、4月の感染との直接の関連性は低い、と市に伝えた」と説明するが、保護者や市民の不信感を招く対応だったと言わざるを得ない。

 同保健所が6月にまとめた調査報告は、給食が原因である可能性は低いとした上で、「感染源および感染経路の特定には至らなかった」との結論にとどめている。ただし、3月の事案も含めた計6人から検出された菌の遺伝子型はすべて同一で、園内での広がりの可能性を示唆している。

 今回の一連の経過を踏まえると、3月の感染確認時点で公表が必要だったと考える。二次感染は、排便後に手などに付着した菌が何らかの器物を通して起こるとされる。幼い子どもの施設では、そのような感染も十分想定できる。速やかな公表は、軽い症状であっても医療機関への受診を促し、感染拡大の防止につながる。公衆衛生の実務で監督的立場にある保健所や京都府はもちろん、感染が起こった施設の管理者にも主体的な判断が求められる。