京都に住み始めた頃、北山駅すぐそばのロイヤルホストがある交差点がなんだかとても好きだった。

 京都にきたばかりで右も左もわからない状態で、岩倉の町からこの坂を下っていったらどうなるんやろ?と自転車で向かった先には噂(うわさ)に聞いた深泥池という心霊スポットがあり、その薄暗い曲がり道を抜けた先に見つけた黄色のレストランの看板にとてもホッとしたことを覚えている。

 まだ京都の北や南といった方向感覚が体に馴染(なじ)んでいなかったあの頃は山の下にある小さなやたら小奇麗(こぎれい)な町がなんだかとても不思議な場所に思えた。

 そんな場所にあるのが京都府立植物園だ。学生の頃は学生証を見せると無料で入場できたこともあって、よく友達と一緒に熱帯コーナーを見に来ていた。いろいろな形のサボテンや見たこともない不思議な植物は何回見ても飽きない。

 池野詩織さんにアーティスト写真を撮ってもらったのもこの場所だ。穏やかな時間が流れる園内は独特な空気が通っていて、そこにいるだけですーっと力が抜けるような気持ちになる。少し疲れたな、という時にふらっと自転車で訪れたい場所のひとつなのです。