「毎月勤労統計」の不正調査問題を巡りきのう、衆参両院で閉会中審査が行われた。与野党とも政府の対応を厳しく追及したが、1日だけの国会審議である。疑問が解消されたとは言い難い。

 なぜ不正が始まり、長期間見過ごされてきたのか。通常国会でも事実関係の詳細を徹底解明し責任の所在を明らかにする必要がある。

 外部有識者による厚生労働省の特別監察委員会は報告書を公表した。計画と異なる抽出調査は統計法違反と認定した一方、組織的関与や隠蔽(ぺい)は否定した。だが、その判断に至った根拠は不明確で不十分な調査だと言わざるをえない。

 根本匠厚労相は自身を含む政務3役の給与などを返上、事務次官ら22人を処分した。国会での野党の追及を避けるため政権が早期沈静化を図ろうとした狙いも透ける。これで幕引きにはできない。

 不明な点は残ったままだ。大規模事業所は全数調査をするのがルールだが、厚労省は2003年に抽出調査を容認するマニュアルを作成した。その理由ははっきりしない。手法変更の場合に必要な修正処理も昨年まで怠っていた。このため長年にわたり全国の平均給与額が低く算出されていた。

 マニュアルは統計部局トップの歴代部長名で決裁し、不正容認の記述は14年に削除された。政府が勤労統計を含む基幹統計をチェックする計画を閣議決定したため、不正発覚を恐れた可能性もある。

 看過できないのは、17年に局長級の政策統括官が違法調査の報告を受けて部下に修正を指示したのに、その後の対応が放置されていたことだ。不作為は明らかである。なぜ、そうなったのか解明しなくてはならない。

 共同通信の世論調査では政府統計を信用できないと答えた人は78・8%に達した。国民の信頼は大きく失墜したといえる。

 政策立案の基礎であるはずの統計を軽視する傾向が政府内にあり、人員や予算の削減が進む。統計作成部局の足腰が弱っていたとの指摘もある。社会のインフラである政府統計の重要性を再考し、研修による職員の意識改革や統計部門の体制見直しを進めるべきだ。

 今回の問題は国民生活に深刻な影響を与えている。政府はしっかり追加給付と真相究明に取り組んでほしい。詳細が不明なままでは抜本的な再発防止策を講じることはできない。省内の構造的問題にメスを入れる必要がある。不正を見抜けなかった歴代厚労相ら政治家の責任も問われよう。