北山駅から西に向かって少し歩き、賀茂川の橋を越えたところにある住宅地、その中にひっそりと不思議で素敵(すてき)なスパイス・バザールはある。

 たくさんのスパイスを使って料理を作るのはなんだか魔法の実験みたいでとてもワクワクする。ひとつひとつの小さな粒が混ざりあうことで香りや味がすーっと立ち上がってくる様子は、フレーズを重ね合わせてひとつの曲を作ることにも似ている。音楽も魔法のようなものだと僕は思う。

 小さな店内の棚にところ狭しと並べられたスパイスの瓶は、どれもこれもとても魅力的だ。これでチキンソテーとか作ったら美味(おい)しいやろうなーとか、これとこれでカレーが作れるんや! とか。あれこれ想像するのが本当に楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまう。

 いつかキッチンが広い部屋に引っ越したら棚いっぱいにスパイスを揃(そろ)えて毎日毎日料理したい、とちょっと先の未来のことを想像しながらひとつひとつ眺めていくのがとても楽しくて仕方がないのだ。カリルやスパイスチャンバーでスパイスカレーの魅力にハマった人にはぜひとも訪れてほしい素敵なバザールだ。