エキスポランドの事故で犠牲になった小河原良乃さんの遺影と、友人が贈ってくれた似顔絵(東近江市)

エキスポランドの事故で犠牲になった小河原良乃さんの遺影と、友人が贈ってくれた似顔絵(東近江市)

 2007年5月、大阪府吹田市の遊園地エキスポランド(閉園)で20人が死傷したジェットコースター事故から、5日で10年を迎える。犠牲になった東近江市の会社員小河原良乃さん=当時(19)=の母美代子さん(61)は癒えぬ悲しみを抱えながら、孫の誕生などに、少しずつ生きる希望を見いだしてきた。一方で、旧エキスポ社側の弔問は3年前から途絶え、コースター事故は今もなくならない。「遊園地の運営企業は利益に走らず、人の命、安全を最優先に考えてほしい」との思いを強くしている。

 「良乃、おはよう」。美代子さんは事故以降、仏壇のある居間で寝起きする生活を続け、毎朝、娘の遺影に語りかける。事故の瞬間が脳裏に浮かび、涙がこぼれる時もある。「時間がたっても、娘を失った悲しみは減りません」。毎年、命日の前後には良乃さんの友人が子どもを連れて遊びに来てくれる。「良乃も子どもが好きだった。結婚、出産を経験させてあげたかったな」と思う。
 以前は「良乃の後を追いたい気持ちもあった」。だが事故後、良乃さんの2人の姉がもうけた男の子4人の存在が心情を変えていった。一緒に遊んでいる時、成長を感じる時、心の芯から笑えなかった以前とは違う自分を感じる。「やっぱりかわいい。孫から生きる力をもらっています」
 一方、コースターの点検を怠り車軸の亀裂を見逃したとして、業務上過失致死傷罪などで有罪判決を受けた旧エキスポ社の当時の取締役や施設営業部長らは、4年間の執行猶予が終わった後の2014年5月を最後に弔問に来なくなった。「今回で最後にさせてもらいます」。頭を下げながらの言葉に怒りがこみ上げた。「娘の命を奪ったのに、事故の責任を自覚していないのか。反省は口だけだったとしか思えない」
 コースターなどの事故は今も全国で発生している。美代子さんは「教訓を風化させないでほしい」と言い、遊園地の運営企業がアトラクションの安全管理を徹底し、国や自治体がチェック機能を果たすよう訴える。「二度と娘のような犠牲者を出す事故を起こしてほしくない」。そう強く願っている。