阪急大宮駅から出てすぐ北、碁盤の目として名高い町、京都では珍しく斜めにまっすぐ伸びていく通り、後院通がある。

 その根元のような部分、ちょうど「餃子の王将」四条大宮店の向かいに、焼き肉屋や居酒屋の看板がデカデカと掲げられた少しだけ怪しげなビルがある。

 おずおずとビルに足を踏み入れると、ひっそりと無人のカードローンのコーナーがあり、怪しさをさらに加速させる。と思うと、そこに出てくるのは、このビルの怪しげな雰囲気からは想像できないような、端正な昔ながらの寿司(すし)屋。ひよこ寿司というなんだかかわいい名前の寿司屋は、遅い時にはなんと深夜の1時過ぎまで営業している。

 暖簾(のれん)をくぐると、そこにはカウンターと何席かの椅子。暗くてジメッとしたビルの雰囲気からは考えられないほど綺麗(きれい)で新鮮なお寿司の数々。とても丁寧に作られた茶碗蒸しやぶりのかま焼き。隠れ家的なお店ではあるけれど値段は庶民的。どれを食べても本当に美味(おい)しくてたまらない。

 すぐにでも人に教えたくなるようなそのお店は、今日も遅くまでビルの奥でひっそりと誰かを待っているのだ。