はじまりはこの町にしようと決めていた。

 なぜか出町柳駅には「はじまり」のイメージがある。京阪と叡山電鉄という二つの鉄道にとってはまさに「はじまり」の町になるわけだが、それとは別にこの町からはいろいろなことがはじまっているような気がする。

 この町には夕日が似合う。駅から百万遍までの一本道は西日に照らされる。オレンジ色の道の途中、オムライス屋とスポーツクラブに挟まれて、そのギャラリーはある。

 「トランスポップギャラリー」には、エイドリアン・トミネやダニエル・クロウズといったグラフィック・ノベルと呼ばれる文学的な漫画作品やzine、ポスターにフィギュア、レコードがところ狭しと並べられている。小さな四角形のスペースでは、どこを向いても今まで出会ったことのない新しい色や感性と目が合う。

 そんなギャラリーに影響を受けたアーティストの1人が、京都新聞のポスターを手がけるイラストレーターサヌキナオヤ氏であり、僕もその1人だ。

 確かにこの町からはじまったことが、ここにあった。